2021.04.26
障害者は障害者手帳を持っていたほうがいいのでしょうか。障害者手帳にはいろんな種類や等級があって複雑そうです。申請方法も難しそうですね。ここでは意外と知られていない障害者手帳のメリットなどについて詳しく見ていきます。
目次
「障害者手帳」とは障害者等が持つことができる、身体障害者手帳、精神障害者福祉保健手帳、療育手帳のことです。
「身体障害者手帳」とは、身体障害者の自立および社会活動への参加をサポートすることを目的とするもので、身体障害者福祉法に基づくものです。身体に指定された障害がある人が対象ですが、それ以外でも国が医療費助成制度の対象に指定してる人でも取得ができます。等級は1級~6級まであり、7級の障害は2つ以上重なると対象となるのです。
「精神障害者手帳」とは、精神保健福祉法に基づき、精神障害者の自立や社会活動の参加促進と支援を目的とするもので、精神障害に認定されている人以外に発達障害の人も精神障害者保健福祉手帳の交付対象となっています。都道府県知事・指定都市市長に申請しなければならず、1級~3級までの等級があるのです。2年おきに更新となり、更新の都度新しい診断書の提出が必要になります。
「療育手帳」とは、知的障害者への一連の指導・相談や各種サポートが目的です。基となる法律はなく、児童相談所や知的障害者更生相談所による判定により、自治体が交付するものになります。愛の手帳(東京都、横浜市)、みどりの手帳(埼玉県、さいたま市)など自治体によって名前が異なるのです。
障害者手帳の種類と対象となる障害について見てみましょう。
【対象の疾患】 ・視覚障害 ・聴覚障害 ・平衡機能障害 ・音声・言語・そしゃく機能障害 ・上肢・下肢・体幹障害 ・心臓障害 ・じん臓障害 ・呼吸器機能障害 ・ぼうこう又は直腸機能障害 ・小腸機能障害 ・肝臓機能障害 ・免疫(ヒト免疫不全)機能障害
【取得条件】 疾病によって障害が永久に継続し、生活するうえで動作が不自由であること。 身体に障害がある人が対象で、通学や通勤などの日常生活の場で、身体障害者の自立を目的として交付されます。等級は身体障害者手帳は、1級~6級まであります。2つ以上の7級の組み合わせでも対象と認められることもあるのです。
【対象の疾患】 精神疾患: ・統合失調症 ・うつ病 ・そううつ病などの気分障害 ・てんかん ・薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症 ・高次脳機能障害 ・発達障害 ・その他の精神疾患(ストレス関連障害等) ・発達障害
【取得条件】 精神疾患及び発達障害があるために生活するうえで支障をきたすこと。社会生活・日常生活を送る際に制約がある人のサポートや自立が目的で1級~3級の等級があり、2年ごとに更新する必要があるのです。更新のつど診断書の提出が必要となります。なお、申請先は各自治体の長になります。
地方自治体が独自に交付する手帳で、全国的な規定もありません。
【取得条件】 「知的障害あり」と知的障害者更生相談所や児童相談所での判定が必要です。 「愛の手帳(東京都)」、「みどりの手帳(埼玉県)」と地方によって呼び名が違います。 「A」(重度)と「B」(重度以外の中軽度)の2区分があり、障害の程度の変化により「B」から「A」に上がることもあるのです。
障害者手帳を持つことのメリットは、以下になります。
従業員を43.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上かつ従業員の2.3%にあたる人数の障害者を雇用することが法定雇用率として定められているのです。障害者手帳を持っている場合、障害者雇用枠を使っての就職や転職が可能になります。
障害者手帳を持っている18歳以上の身体障害者の医療費が助成されます。例えば、東京都では、医療機関での医療費の自己負担が原則1割になるのです。
補装具とは、義肢・補聴器・車いす・盲人安全つえなどになります。補装具の購入または修理に必要な費用の助成が受けられ、自己負担額は原則1割です。
自宅のバリアフリー工事やスロープ・手すりの設置費用といった、リフォームのための費用の助成が受けられます。
障害の等級の違いにより金額が変わってきますが、所得税・住民税・自動車税に対し、障害者控除・特別障害者控除・同居特別障害者控除といった、一定の金額の税金控除のサービスを受けることが可能です。
鉄道・バス・タクシー・航空旅客機・船舶などの交通機関によっては障害者手帳を提示すれば、割引が適用となることがあります。同伴者も割引の対象となる場合があるのです。従って、高齢者となった時の移動のための車購入の必要はないかもしれませんね。
NHK放送受信料・携帯電話会社の料金割引サービス・美術館・博物館・動物園の入場料の割引を受けることができます。 障害者手帳を持つことによるデメリットを考えてみましょう。
デメリットは思いつきません。ただし障害者手帳の申請時に医師の診断書の料金が必要なことと、運転免許同様、手帳の有効期限が訪れる前に更新をする必要があります。いつからか忘れてしまって失効しないようにしましょう。精神障害者福祉手帳は2年ごとに、身体障害者手帳は障害の状況によって、療育手帳は期間を定めて再判定をする場合があります。
「身体障害者手帳交付申請書」の受付窓口は、各自治体の障害福祉担当で、ここで申請書がもらえます。自治体のホームページからも申請書をダウンロードできるところもあるでしょう。他に主な必要なものは、所定の様式による診断書や医者の意見書、写真、個人番号、健康保険証、免許証など本人が確認できる書類になります。代理人の場合、本人確認書類と委任状が必要です。申請してから交付まで早くとも1カ月ほどかかります。
精神障害者保健福祉手帳の申請に必要なものは、申請書にくわえ、医者の診断書、本人の顔写真、個人番号が記載された書類、免許証など本人が確認できる書類が必要です。最寄りの役所の保健福祉課などで申請書を入手するか、自治体のホームページから申請書をダウンロードします。障害者年金受給者は年金証書を診断書の代用とすることも可能です。申請は代理人でも可能ですが、その場合、委任状は不要となります。申請後、自治体や精神保健福祉センターで審査が行われることになるのです。従って申請してから交付までには約2カ月かかります。
各自治体の障害福祉担当が療育手帳申請の受付先になります。療育手帳の申請に必要なものは、「療育手帳交付申請書」と申請する本人の写真や印鑑等です。知的障害判定を受ける日の予約をしてから知的障害判定を受けることになるのです。約1カ月後に結果が郵送で本人に通知されます。他の手帳と順番が異なり、申請した後に医者や判定機関などで面接、知能検査を受けてからの障害判定となります。18歳以上は知的障害者更生相、18歳未満は児童相談所で判定を行うのです。通常、申請してから手帳が交付されるまでには2~4カ月かかります。また、交付後は原則として2年おきに更新となるのです。
障害者手帳は、言ってみれば、所持することで自治体などからさまざまな支援やサービスの手がさしのべられるフリーパスです。障害者は人間らしく生きがいのある生活をするための支援を受ける資格があり、資格があることを証明してくれるものが障害者手帳です。それぞれの手帳について正しく知ったうえで、ぜひともこの制度を最大限に活用しましょう。
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