2026.04.07
こんにちは。栃木県・群馬県の障がい者グループホーム「ファミリー」編集部です。
「若年性アルツハイマー」は、通常は高齢者に多い認知症が、65歳未満の若い世代に起こるタイプのことをいいます。40代〜50代の「働き盛り」の方に発症することが多く、本人だけでなく、家族や仕事、生活にも大きな影響があります。
患者数は約3.5万〜4万人と比較的少ないですが、働き盛りの世代に発症するため、個人のみならず家族や社会への影響も大きいといわれています。
高齢者の認知症は女性に多い一方、若年性アルツハイマーは男性の方がやや多い傾向にあります。2009年の厚生労働省による調査では、日本の若年性アルツハイマーの男女比は6対4となっています。
「診断されたら、この先どうなるのか」「なぜ命に関わることがあるのか」――そうした不安を抱えてこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。この記事では、症状や原因だけでなく、寿命・余命の目安や、亡くなる理由として知られていること、そして本人や家族がとるべき対応について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
目次
若年性アルツハイマーの症状は、大きく「中核症状」と「BPSD(行動・心理症状:Behavioral and Psychological Symptoms of dementia)」に分けられます。
脳の異常な変化や、脳の病気・細胞が壊されることによる「中核症状」と、その二次的なものとして発症する「BPSD」に分かれます。BPSDはストレスやまわりの状況によって発症しやすくなるとされており、必ず発症するというものではありません。
【中核症状(認知機能障害)】
【BPSD(行動・心理症状)】
発症後の寿命について、さまざまな調査・研究が行われています。研究によって数値には幅がありますが、多くの情報源で紹介されているのは「発症から10〜15年程度」という目安です。診断を受けた時点から数えると、平均でおよそ9〜10年前後というデータもあります。
若年性認知症全体で見ると、若年性アルツハイマーは他のタイプ(前頭側頭型認知症は約6〜9年、レビー小体型認知症は約7年程度など)と比べると、比較的長めの経過をたどることが多いともいわれています。
ただし、これらはあくまで統計上の目安です。進行のスピードや合併症の有無には非常に大きな個人差があり、実際の経過は人によって大きく異なります。特に発症年齢が若いほど進行が速い傾向があるとも指摘されており、一概に「あと何年」と断定できるものではありません。数字にとらわれすぎず、「進行を穏やかにするための工夫は何か」という視点で捉えていただくのがよいかと思います。
若年性アルツハイマーそのものが直接の死因になるというよりも、病気の進行にともなって起こる合併症が主な原因になることが知られています。代表的なものは以下の通りです。
このように、進行にともなって「食べる」「動く」といった日常的な機能が徐々に低下していくことが、命に関わるリスクにつながっていきます。裏を返せば、嚥下機能を保つ工夫や誤嚥・転倒の予防、感染症対策といった日々のケアが、進行を穏やかにし、より長く安心して過ごすことにつながるということでもあります。次の章では、診断後にできる具体的な対応についてご紹介します。
若年性アルツハイマーの人は、会社などで最も活躍している世代の人が年齢からして多く、発症した場合の生活への影響は大きなものになります。
若年性アルツハイマーと診断された場合は、以下のような対応が考えられます。
勤務時間を短くしたり、仕事内容を調整してもらったりできます。今の職場が難しい場合、障害者雇用制度を活用するという選択肢もあります。自分でできる範囲の仕事で家計を支えるために働き続けるという割り切った考え方を持つことも必要でしょう。
栄養バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動などが、進行を遅らせる助けになるといわれています。過度な飲酒や喫煙は避けましょう。なお、脳梗塞や脳出血を原因とする「血管性認知症」を合併するケースもあるため、血管の健康を保つ生活習慣も意識しておくと安心です。
医療費や生活費の負担を減らすために、さまざまな制度を利用できます。
若年性アルツハイマーの方は、体が元気で意欲もあるため、できないことが増えていくことに対して強いストレスを感じやすくなります。
まわりの人は、本人のできる部分を生かせるようなライフスタイルを持続させ、本人が自信をなくすような言動や行動をしない配慮が必要です。
認知症であることを本人に知らせるべきかは、家族のなかでも議論になることが多い問題です。本人に知らせると決めたら、家族も一体となって向き合っていく覚悟が必要になります。バリバリに仕事ができている段階で告知を受けると、精神的なショックが大きく、うつが急速に進むおそれがあります。とはいえ、本人がまだ正常な判断ができる段階で告知をおこなっておけば、本人の意思や希望を確認しながら治療を進めることができます。
若年性アルツハイマーの患者さんを支えるためには、以下の点に留意することが大切です。
「若年性アルツハイマー」に対して、国が進めている「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、若年性アルツハイマーの人へのサポートが補強されつつあります。「若年性認知症コールセンター」が全国に設けられており、そのほかにも地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどの相談窓口があります。生活や介護のことで悩んだら、まずは相談してみましょう。また、全国各地の認知症カフェや家族の集いに参加して、同じような悩みを持つ人と交流をもつのもよいかもしれません。
若年性アルツハイマーは、まだ働いている世代にも起こりうる病気です。早く気づき、適切な治療やサポートを受けることで、進行を穏やかにし、より安心できる生活を送ることができます。
「もしかして…」と思ったら、ひとりで悩まずに早めに医療機関や相談窓口に相談してください。
Q. 若年性アルツハイマーの寿命はどれくらいですか?
A. 発症から10〜15年程度が一つの目安として紹介されることが多いですが、進行のスピードや合併症の有無によって個人差が大きく、一概には言えません。数字はあくまで目安として捉え、日々のケアで進行を穏やかにしていくことが大切です。
Q. 若年性アルツハイマーはなぜ亡くなることがあるのですか?
A. 病気そのものというより、進行にともなって起こる誤嚥性肺炎や感染症、転倒・骨折による合併症が主な理由として知られています。嚥下機能を保つ工夫や転倒予防など、日々のケアがリスクを減らすことにつながります。
Q. 若年性アルツハイマーの最後の段階はどのような状態になりますか?
A. 症状の進行にともない、身の回りのことが一人でできなくなったり、食事や会話が難しくなったりすることが一般的です。ただし進行のペースや現れ方には個人差が大きいため、経過については主治医と相談しながら把握していくことをおすすめします。