2026.05.16
難病とは、原因が明確でないためはっきりした治療方法がなく、長期の療養を必要とする疾患のことです。難病を持つ人は、病気そのものや生活・仕事の悩みに加えて、周囲に同じ病気の人がいないという孤立感を抱えることもあるでしょう。とはいえ、近年は適切な対応によって症状が安定し、普通の人と変わらない生活を送っている人も増えてきています。
難病の人が受けられる社会的な支援にはどのようなものがあり、どう申請すればよいのでしょうか。また、申請することのメリット・デメリットはあるのでしょうか。この記事では、難病申請の基本から、申請のメリット・デメリット、具体的な手続きの流れまで詳しく解説していきます。
目次
「難病」という言葉には、「治りにくい病気」「寝たきりになってしまう病気」というイメージがあるかもしれません。しかし医療の進歩により、日常生活で全面的な介護を必要とする人の割合は低く、近年では症状が安定し、ほぼ問題なく日常生活を送っている人の割合が増えてきています。とはいえ、完治が難しいことに変わりはなく、軽症であっても定期的な通院や服薬など、生活における自己管理は欠かせません。
働き盛りの15〜64歳で多い難病の例としては、以下のようなものがあります。
とくに潰瘍性大腸炎は指定難病の中でも患者数が多く、若い世代での発症も少なくありません。パーキンソン病は中高年以降での発症が多く、進行に応じて生活・仕事の両面での調整が必要になることがあります。いずれも病状の程度によって医療費助成の対象になるかどうかが変わってくるため、まずは主治医や自治体窓口に確認することをおすすめします。
2015年施行の「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」では、以下の要素があるものを難病としています。
難病法は、国による難病治療の研究推進、難病を持つ人の医療費負担の軽減、治療を続けながら社会参加できるようにするための総合的な支援を定めています。あわせて、障害者総合支援法によって、難病の人への福祉支援も提供されています。
日本の難病のうち、患者数が一定数(人口の約0.1%程度)に達しておらず、客観的な診断基準またはそれに準ずるものが確立しているものを「指定難病」といいます。指定難病は長期療養が必要で経済的負担が大きいため、国が定める基準に基づく医療費助成制度の対象になります。
指定難病患者を対象とした、国の医療費助成制度です。難病法で指定された疾患の治療法を確立するために患者データを収集・研究を推進すること、そして効果的な治療法が確立されるまでの間、長期療養にかかる医療費の負担を軽減することを目的としています。申請が認定されると、都道府県から「指定難病医療受給者証」が交付されます。
指定難病と診断され、重症度分類等に照らして一定程度以上の病状の場合、医療費助成の対象となります。医療費の自己負担は原則2割です(国民健康保険や健康保険組合加入者の一般的な自己負担は3割)。さらに、所得に応じて決まる月額の自己負担上限額を超える治療費は支払う必要がありません。
一般的な「高額療養費制度」と比べても、指定難病の医療費助成制度では自己負担の上限額が低めに設定されているケースが多くあります。長期にわたって通院・服薬を続ける必要がある難病だからこその配慮といえます。
指定難病の一部は、身体障害者手帳を持っていなくても、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス(ホームヘルプ、短期入所など)の対象となる場合があります。お住まいの自治体の窓口で、対象になるかどうか確認してみるとよいでしょう。
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難病指定医、または協力難病指定医である主治医に「臨床調査個人票」を記入してもらう必要があります。文書料として1,500〜5,000円ほどかかることが一般的です。そのほか、住民票や所得証明書も用意しなければなりません。受診日までに医療券が作成できていない場合は、還付請求の手続きも必要です。これらは毎年更新の時期に行う必要があり、記入内容に不備があると通らないこともあります。
受診の際は、診察券、保険証、医療費受給者証、自己負担上限額管理票など、複数の書類を忘れずに持参する必要があります。
受診のたびに、自己負担上限額管理票へ医療費の記入と押印をしてもらう必要があり、領収額の管理も自分で行うことになります。
病院や薬局の会計担当者が手続きに不慣れな場合、計算方法や記入方法の確認で時間がかかることがあります。
医療費助成を受ける際には、臨床調査個人票のデータが厚生労働省の難病対策の研究事業に活用されることへの承諾が必要です。なお、提供されるデータは個人が特定できない形で扱われます。
難病指定を受けることで、民間の医療保険に加入しづらくなったり、住宅ローンなどの審査に影響したりする可能性があります。申請前に知っておきたいポイントのひとつです。
指定難病の中でもとくに検索されることの多い、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病について簡単に補足します。
潰瘍性大腸炎は、指定難病の中でも患者数が多く、比較的若い年代での発症も珍しくありません。病状の程度(重症度分類)によっては医療費助成の対象にならない場合もあるため、寛解期・活動期どちらの状態で申請するかによって結果が変わることがあります。就労世代での発症が多いため、職場への説明や保険加入のタイミングなど、デメリット面も含めて早めに情報収集しておくと安心です。
パーキンソン病は、進行性の神経疾患で、症状の進み具合によって「生活機能障害度」などの重症度分類が用いられます。進行に応じて医療費助成の対象範囲や必要な支援が変わってくるため、症状が軽いうちから申請の要否を主治医に相談しておくとよいでしょう。介護保険サービスとの関係が出てくる場合もあるため、自治体窓口での確認が欠かせません。
いずれの疾患も、デメリットだけを見て申請をためらうのではなく、メリット・デメリットの両方を主治医や自治体の窓口で確認したうえで判断することをおすすめします。
病状が一定程度以上であったり、高額な医療費負担が継続したりする指定難病は、医療費助成制度の対象です。難病を持つ人が都道府県の窓口へ申請し、審査を経て認定を受ける必要があります。なお、都道府県や疾患の種類によって、指定難病の診断基準や重症度分類は異なります。
難病は原因が不明で完全な治癒が難しいうえ、症状が目立たない状態でも通院・服薬・自己管理を続ける必要があります。難病の人が仕事を続けていくためには、病気の管理と仕事の両立が欠かせません。無理なく活躍できる仕事を選ぶこと、職場の理解を得て時短勤務や休暇を取得できるようにすること、そして自分に合った自己管理の方法を身につけることが大切です。
近年は難病に対する制度や支援も拡充されてきています。難病を持つ人は、さまざまな専門的支援を受けることができます。デメリットも正しく理解したうえで、一人で悩まず、遠慮せずに支援を積極的に活用しましょう。
Q. 難病申請をするメリットは何ですか?
A. 医療費の自己負担割合が下がり、月額の自己負担上限額を超えた分は支払う必要がなくなります。加えて、障害福祉サービスや障害者割引の対象になる場合もあります。
Q. 難病申請のデメリットは何ですか?
A. 年1回の更新手続きの手間や書類費用、受診のたびに複数の証明書を持参する必要があること、民間保険やローンの審査に影響する可能性があることなどが挙げられます。
Q. 潰瘍性大腸炎やパーキンソン病でも申請できますか?
A. どちらも指定難病に含まれる疾患です。ただし重症度分類によって医療費助成の対象になるかどうかが変わるため、主治医や自治体窓口への確認をおすすめします。
Q. 申請から認定まで、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 目安として、申請から医療受給者証の交付まで約3カ月ほどかかります。
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