気分変調症とは?どんな症状・治療方法は? - 栃木県・群馬県の障がい者自立支援・共同生活支援|障がい者グループホーム ファミリー

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気分変調症とは?どんな症状・治療方法は?

気分変調症とは?どんな症状・治療方法は?

2021.10.11

気分変調症とは、慢性的に軽い落ち込みが長期間続く精神疾患です。沈んだ気持ちが日常的に継続されるため、病気という意識が持たれない場合が多いようです。

気分変調症の原因や治療法はどのようなものがあるのでしょうか。また、うつ病とはどこが違うのでしょう。仕事をつづけていくためにはどういった点に工夫すればいいのか、症状との向き合い方を考えてみましょう。

気分変調症ってどんな病気?

気分変調症は、抑うつ神経症という名前がもともとの病名でしたが、近年、神経症という言葉の廃止に伴い気分変調症という名前に変更されました。比較的軽い気分の落ち込みがいつまでも続き、仕事のやる気が起きないなどの症状が生じてきます。そのため誤解され、本人が甘えているとか性格的な問題だとかで片付けられてしまうことが多いようです。長い期間の治療が必要になることと、女性の方が男性の2倍発症しやすいという特徴があります。

また、25歳までの若い世代に多く発症する精神疾患で、一般人口の約5~6%がかかる病気とされています。そして、そのうちの4割の人が10年以上にわたる治療を続けているのです。

他の不安症やパーソナリティ障害とあわせて発症することもよくあります。さらに、薬物やアルコールなどの物質使用障害を招いてしまうおそれもあります。

誤解されやすい気分変調症

①性格の問題と間違われやすい

継続的な気分の落ち込みがあるとはいえ、気分変調症は日常生活を何とかやっていけるものです。そのため病気などではなく本人の甘えや性格の問題だととらえられることが多く、医療機関での受診が遅れがちになります。
適切な治療を受けられないまま、放置されたままの状態が継続されてしまうのです。

②うつ病との違い

気分変調症は慢性的なうつ状態が続くことから、うつ病に含まれるものと考えられていました。
しかしこの2つは区別されるべきもので、うつ病と気分変調症は共通する症状も確かにありますが、以下のように異なる点もあるのです。

1.症状が比較的軽い
無気力感や不活発、自尊心の低下といったうつ病と同じような症状がでますが、気分変調症の場合は相対的に症状が軽く、診断基準としてはうつ病に満たないものです。

2.持続する期間が長い
軽度な抑うつ状態が長期間続くのも気分変調症の特徴です。2年以上といった長期間症状慢性的に続きます。一方、うつ病の方は症状が続くのは2週間以上です。

最初はうつ病と診断され、症状が長く続くことから、気分変調症だと病名が訂正されるケースもよくあるように、両者の識別は難しいものがあります。症状がいつから始まったのかをチェックするしておきましょう。いつから気分の落ち込みが始まったのかをよく思い出してみてください。

3.発症の原因が明確
発症の原因が明確なことも気分変調症の特徴です。例えば、家族などとの死別や恋愛の失敗、離婚や別居や仕事上の失敗といった特定の出来事や環境が原因となって発症することがあります。

一方、うつ病の方は、脳内の神経を伝達する働きがあるセロトニンやノルアドレナリンが、過度に減少させられることが原因です。強いストレスがセロトニンやノルアドレナリンが減少させるのではないかと思われます。あるいは、性格や環境の変化や病気などさまざまな要因も考えられるでしょう。うつ病は今だに解明されていないことも多いのですが、最近の研究で原因が少しずつその実態が解明されつつあります。

気分変調症の治療方法

症状や発症原因は人それぞれで気分変調症の治療方法には画一的なものはありません。ケースバイケースに対応する必要があり、その人の人生、性格、現在の環境などを考慮する必要があります。
精神科や心療内科といった専門機関を受診するのがいいでしょう。最近では、治療方法としては、抗うつ薬などを使った薬物療法とカウンセリングなどの精神療法を交えて行うことが有効とされています。

①精神療法

カウンセリングにより、ネガティブな思考パターンを修正する認知行動療法に沿った治療法です。気分変調症は治療に時間がかかり再発するケースも見られます。「寛解」の状態と称される、生活をする上で支障をきたさないほどに安定した状態をいつまでも保てることをめざします。
最近では、認知療法や行動療法といった心理療法との組み合わせることがより効果を高めています。

②認知療法

否定的で抑うつ的な考え方を修正するもので、悲観的にものごとを捉えることのない新しい思考へと変化させる療法です。

③行動療法

リラックス法を試しながら楽しい経験や活動性の機会を多く与えて抑うつ的な考え方を改めようとする療法です。

④薬物療法

今までは精神療法による治療が、気分変調症の治療法として多い傾向がありました。
しかし最近は、有効性の高い抗うつ薬を用いた薬物療法が効果的のようです。

代表的な抗うつ薬として三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)クエチアピンの3つがあります。これらは単剤使用でも有効ですが、アリピプラゾールを抗うつ薬に加える療法がより有効性が高められると確認されています。

うつ病と違って慢性的な状態となっている気分変調症の場合、漫然と薬物療法を続けられがちです。ですが薬物療法とあわせて、精神療法を行い、無力感やゆがんだ人生観などを修正することが大切でしょう。
さらに、最近では薬物療法単体ではなく、認知療法や行動療法といった心理療法と組み合わせにより、より高い治療効果が生まれるのです。

⑤精神療法

気分変調症は長年抑うつや憂うつな気持ちが続くため、無価値観や否定的な考えで人生観や自己の価値観をゆがんだ感情でとらえてしまいがちです。
そこで精神療法を通院しながら実施することによって、ゆがんだ感情を修正し、現在の問題や今後生じる問題に対して最適な行動や思考がとれるようにします。

気分変調症の向き合い方

気分変調症は重度のうつ病と違って仕事をなんとか続けることができます。
症状が慢性化や悪化しないかぎり、治療を続けながら仕事できるように周囲の人に障害を理解してもらうことが必要です。

気分が落ち込んでいるため仕事に意欲が出ない、優先順位の整理がうまくいかず、その結果仕事が滞るといった状態がどうしても発生します。周囲の人に協力してもらって仕事を細かく区分し、その区分された仕事を少しずつ達成していくスモールステップ法を実践するのがいいでしょう。

仕事量を減らして、残業をしないでストレスや疲れをためないことも大切です。仕事がどうしても辛い場合は休職して治療に専念する選択もあります。休職には診断書が必要です。医師に相談して現在の病状や業務遂行が難しいことを記載してもらいましょう。

会社の産業医や産業保健師に休職や復職の相談をするのもおすすめです。休職しても健康保険に加入すれば傷病手当金が支給されますし、障害年金ももらえる場合もあります。また、「リワーク」という復職支援のプログラムを実践して復職に向けた準備を進めることも可能です。

思い当たることがある方は専門医に相談を

気分変調症は、慢性的な気分の落ち込みが長く続くため、放っておくと日常生活や仕事に重大な支障をきたしてしまいます。性格や甘えの問題ではなく、気分変調症はきちんとした病名のある精神疾患なのです。
眠れなかったり逆に寝すぎてしまったり、気力が低下したり、疲れやすかったりといった症状が少しでも感じられる場合は早めに専門医に相談しましょう。

病気の克服はできなくても症状がやわらぐ寛解の状態を保っていけるよう、適切な治療を受けることが大切です。症状を安定させながら上手に病気と付き合っていきましょう。

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