学習障害「限局性学習症(LD)」とは? - 栃木県・群馬県の障がい者自立支援・共同生活支援|障がい者グループホーム ファミリー

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学習障害「限局性学習症(LD)」とは?

学習障害「限局性学習症(LD)」とは?

2021.11.09

学習障害とは、全般的な知的発達に遅れはないのですが、聞いたり、話したり、読んだり、書いたり、計算したり又は推論したりする能力のうち特定なものに著しい遅れがあります。学習障害の原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があるのではないかと想定されていますが、視覚聴覚・知的・情緒などの障害や、とりまく環境が直接の原因となるものではありません。

学習面でうまくいかないことがあって助けてもらえない場合、学習への苦手意識が強まり、勉強をしなくなります。そうして登校拒否になることもあります。子どもがどんなに頑張っても学習面で成果が上がらないのは、努力不足ではなく学習障害かもしれませんね。

学習障害「限局性学習症(LD)」の主な症状

限局性学習障害はどういったことが原因で、なりやすい人はどんな人でしょうか。

遺伝や、早産、低出生体重児など妊娠中の問題に多いことが報告されていますが、原因はわかっていません。特徴として、読み書き障害では6歳から15歳までの子どもの約1パーセント、算数障害は3~6パーセントです。また他の発達障害同様、女性より男性に多く、男女比は約2対1~3対1です。

さらに、読む速度が遅く、テストでは時間内に問題を解くことができないことがあります。
例えば「と」と「て」など似ている文字を書き間違えたり、文字の形や大きさが不揃いになったりします。幼児期はしゃべることは出来ても文字への関心がなく、本を読もうとしないこともあります。学校にいく年齢になっても、文字を読み間違ったり、音読を嫌がったり、指でなぞりながら文字を読んだり、読んだ内容が理解できなかったりといった症状があります。

また、音の聞き取りや話しが苦手で、車の音やドアを開閉する音・虫の鳴き声などのまわりの雑音が全て同じ大きさの音に聞こえてしまい、必要な音を聞き分けることができません。うまく言葉が出てこなくて話をうまく組み合わせることができないので、何を言おうとしているのかさっぱりわからないのです。

そして、計算や推論が苦手で、単純な計算ミスや繰り上がりなどができません。1m=1,000cm、1L=10DLという単位は頭にあるのですが、実際にはどれくらいの量なのか見当がつかないのです。「いち、に、さん」 と数えられても全体の数が 「3個」 であると把握できません。数直線や四捨五入の理解が困難です。

さらに、簡単な暗算ができなかったり時間がかかってしまったりします。九九の暗算をしばしば間違えたり、繰り上がり・繰り下がりをいつも間違えたり、二桁以上の掛け算で掛ける順番を間違えたりします。

限局性学習症(LD)は生活や仕事に支障が出る

限局性学習障害は、読む、書く、計算するなど一定の分野に限っての学習が困難です。したがって、仕事、日常生活学校の勉強といったものに大きな障害があります。まわりの理解やサポートが不足すると、苦手なことばかり指摘され、努力が足りないなどと指摘され、自分の長所が見つからなくなってしまいます。その結果、不登校などの適応障害や、抑うつなどの症状が出ることがあります。

場合によっては、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、発達性協調運動症を発症していることもあります。あるいはLDとそれらを併発しているのかもしれません。早期に専門の医療機関や相談機関で診てもらうのがいいでしょう。

「限局性学習症かも」と思ったらどこに相談すべきか

限局性学習症かもしれないと思った場合は、まずは学校の先生などに相談してみましょう。そして、必要に応じて以下の専門機関に相談してみてはいかがでしょうか。

  • 小児神経科
  • 児童精神科
  • 各地域の保健センター
  • 児童発達支援センター
  • 各自治体の教育センター など

専門機関では、まずはCTやMRIなどを行い、脳の異常があるかどうかを調べることがあります。
知能テストやそのほかの投影法や発達特性などをみる心理検査を行い、知的障害や精神疾患がないかなどを調べます。その後、読み書きや計算の検査によって限局性学習症になっているかどうかの診断がくだされるのです。

家庭や学校教育の中で早く気づいてあげて対処することが大切です。
対応策を専門家と一緒に見つけて、お互いに協力しながら対処することで症状を大きくやわらげ、二次障害を避けることができるでしょう。

限局性学習症(LD)の治療法と関わり方

日常生活ではかまいすぎることなく、また、放置しすぎないことが大切です。

例えば算数が苦手な子どもに、1から10まで全て教えてしまうと逆に依存心が増してしまいます。と言っても、何もアドバイスをしないのでは改善は望めません。安心して課題に取り組める環境を整えたうえで、なるべく側にいてあげて、本人が困ったときにサポートをしてあげるのがいいでしょう。

また、その子が取り組みやすい教材を使い、集中力が途切れないようにしてあげましょう。1マスが大きいノートを用意してあげて、均等なサイズの文字を書きやすくしてあげるのもいいですね。
また、補助線のあるノートに変えてあげることで、書きながら計算する時にケタが揃うようにしてあげるのもいいでしょう。
さらに、文字や絵にして伝えてあげることで、聞き取りが苦手な子どもが騒々しい場所にいる場合でも、視覚的にものごとを理解しやすくなります。

治療方法として効果的な薬はまだありません。家庭や学校での理解や配慮のもと、心理社会的治療を行うことで効果があります。なるべく「できた」という自信をつけさせることや、ほめてあげるようにしてください。苦手なことや、できなかったことを注意するのは避けましょう。

例えば、子どもが音読したあとに、大人がゆっくり正確に声に出して読んであげたり、文字の少ない絵本を交代で音読したりするのが、内容を理解するうえではとても効果的です。また、なぞり書きを何度も繰り返したり、間違えても叱ることなく正しい文字を書いて見せたりすることもいいでしょう。

ふだんの生活では、文字に興味を持てるように環境を整えてあげることが必要です。楽しく自分で学びたくなるような言葉がけなどに配慮しましょう。
そして、学習に対する苦手意識が強くなり、書く練習や読む練習を拒否するような状況にならないようにしましょう。苦手なことには共感してあげて、毎日努力していることに対して称賛し、得意なことをほめてあげます。そうすれば自分に対して前向きに考えるようになり、症状の悪化を防ぐことができるでしょう。

努力不足ではありません。早めに相談を

LDの特性は教科書を読んだり、黒板に書いてある文字をノートに写したりといった、学習経験を通じてわかってくるもので、小学生になってはじめて判断されるものです。今までは他の子と同じようにできていたのにと劣等感を持つかもしれません。

また、高学年になるにつれ勉強内容が難しくなるので、年齢が上がるにしたがってはっきりと遅れていることや違いを感じてくるかもしれません。

LDの原因はいまだに究明されておらず、何らかの機能障害が脳にあるのではないかと予想されているだけの段階です。本人は何とか皆に追いつこう努力しているのであり、自分の努力不足が原因ではありません。しかし努力の成果がなかなか見えてこず、自信を失った結果、不登校や鬱などに発展してしまうことさえもあるのです。できないのは本人のせいじゃないということを認識させ、取り組みやすい教材や勉強方法を与えてあげる配慮も必要でしょう。

いずれにしても、「もしかして学習障害ではないか」と思ったら早めに専門機関などに相談することが先決です。

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