2021.12.05
障害福祉サービス受給者証あるいは障害者手帳という言葉を、日常生活や病院などで耳にすることがあります。障害福祉サービス受給者証とはいったいどのようなものでしょうか。障害者手帳とは違うものなのでしょうか。持っていると有利になることはあるのか考えてしまいます。また、申受給者証の申請は大変複雑そうに思えますが、どこでどのように行えばいいのでしょうか。
この記事では、障害福祉サービス需給者証とはどのようなものなのか、また具体的な申請方法などについても詳しく解説します。
目次
「障害福祉サービス受給者証」は、省略して「受給者証」とも言い、障害者総合支援法および児童福祉法の定めにより、市区町村より交付される証明書によって、行政から費用の支援を受けながら自分の希望する事業所で障害福祉サービスを受けることができる制度です。
障害福祉サービスには、要介護の人を支援する「介護給付」と仕事のスキルを身につける「訓練等給付」とがあります。
受給者証には障害福祉サービスの具体的な内容や支給のボリューム、支援サービスの内容が記載されています。例えば、就労移行支援には、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、就労支援サービスといったものです。
申請後、支援を受けることを証明する障害福祉サービス受給者証が交付されます。この受給者証により、申請者は受給者証に記載された福祉サービスの内容や支給のボリュームに従って障害福祉サービスを受けることが可能です。
障害者手帳と障害福祉サービス需給者証とは名前がよく似ていますが、全く別物です。交付する目的も発行する機関も異なります。
障害者手帳の場合は、障害名や障害の程度を証明するもので、都道府県によって交付されます。一方、受給者証は援助を受けながら希望する障害福祉サービスを受けることができるための証明書で、市区町村によって交付されるものです。
なお、障害者手帳と受給者証の両方を所持している場合は、行政による費用の援助を受けながら障害福祉サービスを受けることができます。
障害者手帳だけを取得している場合は、障害福祉サービスを受けることはできますが、サービスの利用料は全額自己負担しなければなりません。
また、障害者手帳を所有していなくても行政の援助を受けながら障害福祉サービスを受けたい場合は、申請さえすれば必要とするサービスに応じた受給者証を取得することができます。
障害者手帳のメリットとしては、税金の優遇措置や、医療費の助成、電気・水道料金、電話料金などの割引、公共交通機関・公共施設・映画館などの無料化・割引、生活保護の障害者加を受けることなどがあります。
一方、デメリットとしては、周囲の理解が得られないことがありますし、障害者と認めることへの本人の抵抗感やストレスもあるでしょう。また、障害者枠を使って就職することにより一般社員枠の昇格ルートから外れるといったことなどがあります。障害者雇用促進法では、障害を持つ労働者の昇進・昇格に対して差別的な扱いをすることを禁止していますが、法令遵守意識の低い会社や厚生労働省の指針すら知らない経営者も多くいるのが現状です。もし差別的な取り扱いに巻き込まれた場合は、就労支援サービスやハローワークなどに相談しましょう。
受給者証のメリットとしては、行政から費用の支援を受けながら、障害者総合支援法や児童福祉法に定められた事業所のサービスを受けることができる点です。
利用者の住所、氏名、生年月日、サービスの種類、その支給量と期間、負担上限月額等が受給者証に記載されています。障害者手帳を持っていない場合でも受給者証を発行することは可能です。
受給者証で受けられるサービスとしては具体的に介護給付として、利用者の自宅などに訪問する居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障碍者等包括支援があります。また、日中活動を支援する短期入所、療養介護、生活介護があります。そして事業所での支援として施設入所支援があるのです。
また、訓練等給付として、訓練や就労を支援する自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援があります。さらに、住まいに関する支援として自立生活援助、グループホームなどの共同生活援助があります。
障害福祉サービス受給者証の期限は1年とされています。「給付決定期間」として記載されますので継続して放課後等デイサービスを利用する場合などは新更新手続きに1カ月ほどかかりますので、余裕を持って変更手続きを行なう必要がありますね。
更新の手続きは3ヶ月前から可能で、遅くとも1ヶ月前には行いましょう。例えば2019年9月30日までが期限の場合、2019年8月末までに更新手続きを行う必要があります。
例外として、1年以内に更新しなければならないケースとしては、小学校に入学する時に児童発達支から放課後等デイサービスへの変更する場合があります。そのため、受給者証の更新は4月が更新月としている自治体が多いようです。次回の誕生日の翌月末までが更新期限としている所もあるようです。
まず、各自治体の障害保健福祉課や障害福祉課といった窓口に事業所利用申し込みの申請を行います。
施設の見学に行ったり、相談に行ったりして希望する就労移行支援事業所を決定します。
事業所が決まったら、自治体の障害福祉課に行って必要書類を取りそろえて、申請が行われるのです。
次に、障害支援区分認定調査を行います。自治体の職員や認定調査員が訪問調査やヒアリングを行い、本人の体力や体調に問題ないか、就職に向けた意欲や気持ちがあるかを確認し、さらに、介護者の状況も調査します。
そして、サービス利用計画を作成して提出します。サービス利用計画書にはどれくらいの期間に支援を必要とするのか、あるいは将来の就職先を目標とするのかといったことを検討し、本人みずから作成する場合もありますが、指定相談支援事業者にお願いして作成してもらうこともあるようです。事業者にお願いする場合、作成の負担を減らすことができますし、その後のモニタリングに活用することもできます。さらに、サービス内容を変更する時もスムーズな手続きを行うことができます。
こうして、暫定支給が決定されます。暫定支給期間中に与えられる支援内容は適切か、あるいは追加で必要なサポートがないかなどを最長2ヶ月間で検証します。事業所を再利用する場合は暫定支給期間を設けない場合もあるようです。
さらに、個別支援計画の作成を暫定支給期間中にサービス提供事業所が中心となって個別支援計画が作成されます。受給者証が交付されると、個別支援計画に従って就労移行支援されることになりますが、その前に支援内容に補足や調整すべき点がないかを暫定支給期間中に行うのです。
そして、最後に支給が決定され、受給者証の交付が行われます。個別支援計画が自治体の保健福祉課等で受理されれば、就労移行支援サービスの内容が本人に知らされるのです。このように申請してから受給者証が交付されるまでは、おおむね2週間~2ヶ月かかります。
障害のある人にとって障害福祉サービス受給者証は生活をサポートするための大切なパスポートと言えます。しかし、どの就労移行支援事業所かを決めずに障害福祉サービスを受けることはできません。利用事業所をまず早く決めるようにしましょう。一人では判断がつかない場合は家族や主治医に相談して適切な事業所を選択するのがいいですね。
また、必要があれば障害福祉担当窓口や社会福祉協議会、就労支援サービスを提供する事業者のアドバイスを受けながら、すみやかに障害福祉サービス受給者証の申請を行うようにしましょう。
なお、申請方法や障害福祉サービスについてお困りでしたらお気軽にご相談ください。障害者グループホーム「ファミリー」では、障害をお持ちの方とそのご家族の生活を守る自立支援・共同生活支援を行っています。男女別棟・365日夜間支援があり、安心してお過ごしいただけます。栃木県宇都宮市・群馬県前橋市・群馬県太田市で障害者グループホームをお探しでしたら、ぜひご検討ください。
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