ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?方法や事例、受講方法について - 栃木県・群馬県の障がい者自立支援・共同生活支援|障がい者グループホーム ファミリー

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ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?方法や事例、受講方法について

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?方法や事例、受講方法について

2022.01.12

人間関係や集団行動で生活するためにソーシャルスキルは必要な技能(スキル)です。最初から備わっているものではなく、成長するにつれていろんな人と関わりながら知識を習得していきます。

発達障害のある人や精神疾患のある人はソーシャルスキルの取得が困難です。発達障害者支援法が改正され、「発達障害児・発達障害者の支援施策の推進」の方針が打ち出されました。さらに、障害者当事者の適応力向上のためにソーシャルスキルトレーニング(SST)のメニューも追加され、全国的普及が図られるようになったのです。

では、このようなソーシャルスキルトレーニング(SST)を受講するのはどうすればいいのでしょうか。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは認知行動療法の中の1つで、「Social Skills Training」のことで日本語では「生活技能訓練」あるいは「社会生活技能訓練」です。

ソーシャルスキルとは社会(ソーシャル)の中で生活するための技術(スキル)のことです。対人関係をスムースに行うための知識を訓練によって増やすことによって生活が楽になり、仕事も円滑に行うことができるようになります。何人か集まって行うことが多いのが特徴です。

ソーシャルスキルとは人と接するときに重要なものですが、その行動としては、声の大きさ、話すスピード、表情や身振り手振りなどの対人行動がその要素となります。

具体的な例としては、日常生活で知人に挨拶する、話す時に目と目を合わせながら会話する、相槌を打つなどの行為です。

行動だけではなく思考の面でも相手に不快な思いにしないで、良い印象を与えるためにはどのような行為が最適かを考えたりします。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)の実施内容

ソーシャルスキルは、年齢によって違いがあります。従ってソーシャルスキルトレーニング(SST)を開始するにあたっては、どれだけのスキルを持っているのかを事前に把握しておくことがおすすめです。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)には、たくさんの手法があるので、大人、高校生、中学生、小学生、幼児といったさまざまな年齢やスキルの程度に応じて使用します。ソーシャルスキルトレーニング(SST)の代表的な手法は以下です。

「ロールプレイ」や「ディスカッション、ディベート」、「共同行動」、アプリなどを使った「ゲーム」そして、教材として「ワークシート、絵カード、ソーシャルストーリー」などがあります。

「ロールプレイ(役割演技)」とは、SSTの代表的な内容です。トレーニングを受ける人にとって、課題や課題となりそうな「特定の場面」を設定しながら行います。特定の場面に対して、いかに振る舞うのが最もよいのかを始めに考え、そのようなシチュエーションの中で指導担当者および参加者が実際に演技を行うのです。演技が終わって、「相手を気遣った話し方ができていましたね」「このような言い方もありそうですね」などとフィードバックを受けます。

「ディスカッション、ディベート」とは相手を言い負かすのではありません。SSTとしては、他人の発言を尊重しつつ、自分の意見を述べる、いわば言葉のキャッチボールの訓練をおこないます。

「共同行動」では、療育の現場などで工作、料理などの共同作業を行います。共同行動を行いながら人と助け合ったり、相談して作業分担をしたりするスキルが身に付くのです。

「ゲーム、レクリエーション」も効果的です。遊びながらルールを守ることや勝ち負けを受け止めること、協力し合うスキルが身に付きます。就労移行支援事業所でのゲームやレクリエーションも気晴らしではなくSSTの一環なのです。

「書き込み式のワークシート、絵カード、ソーシャルストーリー」などをSSTの手法とすることもあります。文章や図で表現することで、課題になっている言動を浮き彫りにして本人に認識させるのです。

「ソーシャルストーリー」とは「叙述文」(事実)・「視点文」(心の動き)「指示文」(望ましい振る舞い)で構成される短編ストーリーのことです。課題点を書き出したり、それを音読したりします。理解力を深めて、自分の考えで適切な言葉づかいや、行動ができるようになると言われています。

 

「ソーシャルストーリー」の例題としては以下のようなストーリーです。

「初めて行う仕事が回ってきたがやり方が分からず、上司に聞く必要がある」
「しかし、上司はある部下と話している」
「私は不安なので早く聞きたい」
「二人は熱心に話しているので、今突然話しかけたら上司も話し相手もびっくりするかもしれない」
「我慢して、二人が話し終わってから上司に話しかけるようにしよう」
「そうすれば上司も落ち着いてじっくり私の話を聞いてくれるだろう」

ソーシャルスキルトレーニング(SST)の具体例

SSTは訓練施設でなくても日常でも意識することにより無料でトレーニングを実践することができます。いくつかの実践例を紹介します。

まずはしっかり挨拶をすることです。挨拶はコミュニケーションの第一歩と言われています。タイミングよく適切な挨拶ができるよう意識することが大切です。挨拶をしっかりすることを常に心がけておくようにしましょう。 

そして、相手の気持ちを察するためには相手が考えていることを想像することが大切です。そうしているうちに相手の気持ちがわかるようになります。子どもの場合、人形を使って「登場人物の気持ちを考える」訓練を行うこともあります。

発達障害の人は感情のコントロールが難しいので相手を傷つけることを言ってしまったり、相手が興味のない話を長々としてしまったりすることがあるでしょう。そういったことのないようにしっかり相手の気持ちがわかるスキルを身に付けるようにします。

会話や対話はあらゆるミュニケーションスキルの集大成とも言えるものです。適切な答えを返すための訓練として、まずは一問一答形式のトレーニングから始めます。その後、台本を使って会話の練習を行なったり、フリートークで感想を語り合ったりすることもあります。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)の受講方法について

ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受講できる一番身近な場所としては「病院やクリニック」の精神科や心療内科があります。そこにいる精神科看護師や作業療法士や臨床心理士はSSTを習得しプログラムを組んでいます。SSTの受講条件や価格もいろいろありますので実施先に確認してみましょう。

その他には、「自立訓練(生活訓練)事業所」や福祉事業所、大学、研究機関もあります。しかし、精神疾患の人のためだけにSSTがあるのではありません。仕事をしている人のためのSSTもあります。

薬を飲みながらの体調管理を伴うSSTが必要な人もいるでしょう。そのような人はかかりつけの医者に相談してみましょう。

ソーシャルスキルは障害の有無に関わらず重要です

人が生きていくには障害の有無にかかわらずソーシャルスキルが必要です。とりわけ障害のある人にとっては、日常生活や仕事を行う上で困難や苦しみが多いでしょう。相手の気持ちを思いやるとともに自分の気持ちや考えをしっかり伝えるコミュニケーションスキルは家族や周囲の人と交わることで自然に醸成されます。

しかし、発達障害や精神障害を持つ人にとってはそうしたスキルの獲得は困難です。従って、特にそうした人のためにソーシャルスキルトレーニング(SST)が必要なのです。ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受けたいけれどもどこを訪ねたらいいかわからない場合もあるでしょう。まずは最寄りの若者地域サポートステーションや地域活動支援センター、就労・生活支援センターなどで尋ねてみるのがいいのではないでしょうか。

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