2022.04.09
障害者でも外出してどんどん社会参加をしたいと考えている人は増えてきています。社会参加を望むアクティブな障害者は年々増加の一途をたどっているようです。
一方、障害者が外出することを支援することを職業とするガイドヘルパーと言われる人達がいます。
ガイドヘルパーの資格を持つ人の数はまだまだ、障害者の外出への需要には追いついてないようです。
では、ガイドヘルパーになるためには資格試験や面接などを受ける必要があるのでしょうか。また、応募するには他の資格を所持していることなどの条件が必要なのでしょうか。
目次
ガイドヘルパーは、障害などがあって単独での移動が困難な人のために、その人に付き添って外出の支援をしてあげます。そうして、高齢者や障害者の現在の生活の質を長く持続させるとともに、さらにより生活を向上させることへの貢献を行います。
ガイドヘルパーは、高齢者や障害者が生きていく上で必要不可欠な「移動」という行為をサポートする大切な役割を担った職業と言えるでしょう。
なお、支援対象となる「外出」は「対象者の移動を安全に配慮して介助すること」と規定されています。通学や通院のみならず散歩や旅行なども「外出」に含まれます。
障害の内容に応じてガイドヘルパーの仕事内容も変わってきます。いずれにしても障害者の手となり、足となり、目となって「ここに行きたい」をかなえてあげるのがガイドヘルパーの使命と言えましょう。障害の種類ごとに仕事内容はどうなっているのでしょうか。
1. 全身性障害
脳の病気や怪我などで、全身にわたる運動や機能の障害がある人のことです。
全身性障害でも他人の手を借りずに行動することができる人の場合は、自動車やバイク、他の通行人などに注意するよう誘導してあげます。そして、横断歩道で車椅子を使って横断する時はたとえ青信号でも、すぐに黄色や赤に変わってしまう前に、安全に横断ができるよう部分的に介助をしてあげるのです。
車椅子や他人の手を借りないと動くことができない人の場合、事故などにあわないよう、できるだけ危険のない段差の少ない通路を選んで車椅子を進めてあげるなどといったことを行います。
2.視覚障害
視覚障害者の移動時の支援や外出先で食事のメニューなどを代読してあげたり、申請書類を代書してあげたりします。病院に行く時や買い物をする時に同行することもあります。あるいは、食事の介助や排泄等の世話も行います。視覚障害は、ガイドヘルパーの需要が一番多い障害類ではないでしょうか。
3.知的・精神障害
知的・精神障害者が支援の対象です。このタイプの障害者は、特に通勤・通学時にトラブルが発生することが多いようです。
ガイドヘルパーは、障害の特性や性格にマッチしたコミュニケーション手法を使って、トラブルにならないようにうまく対処します。
ガイドヘルパーは、訪問介護事業所や社会福祉協議会、障害者施設などが就職先となり、引く手もあまたです。
ガイドヘルパーの資格は自治体や介護系の専門学校などによる研修を受講・修了すればよく、特にそのための試験はありません。
受講者には制限はなく、介護福祉士や介護職員実践者研修などの資格がある場合は、一部の科目が免除されることもあります。また、別のガイドヘルパーの資格を既に取得している場合も同様に一部の科目が免除されます。
1.全身性障害者ガイドヘルパー
全身性障害者を対象としたガイドヘルパーの資格を取得します。
研修中は、講義を通して障害者福祉やホームヘルプサービス関連の知識を習得することができます。さらに、実践演習で抱き抱える方法や生活行動・移動・車椅子を使った移動の介助などの技術の習得が可能です。
研修はおおむね3日間福祉系の専門学校などで行われ、費用相場は2~3万円程度です。
2. 視覚障害者ガイドヘルパー
視覚障害者を対象としたガイドヘルパーの資格を取得します。障害者総合支援法で定められた「同行援護」のための資格です。一般課程と応用課程とがあり、修了後は同行援護サービス事業者でサービス担当の管理者として活躍できます。
同行援護とは単独で出かけるのが難しい視覚障害者に帯同して外出のサポートを行うだけではなく、外出先で障害者に代わって種類等を書いてあげたり、商品の価格表などを代読してあげたり、あるいは、排せつ・食事等の介護も行います。
研修は私立の福祉系専門学校などで実施され、受講資格に特に定めはありません。
3.知的・精神障害ガイドヘルパー
知的・精神障害者を対象としたガイドヘルパーの資格を取得します。3日間程度障害に関する基本的な知識や障害者とのコミュニケーションの手法を学び、障害者が安全に出かけられるための実践演習を行います。
私立の福祉系専門学校が行う場合もありますし、自治体が行うものもあります。受講資格には特に定めはなく、費用相場は3.5万円程度ですが、研修によって費用が異なる場合がありますので、事前に主催者に確認する方がいいでしょう。
ガイドヘルパーには移動することがままならない人の移動を支えるという大切な任務があります。
ガイドヘルパーには、1人1人の障害の特性に特化したサポートができること、体力的な消耗や疲労が少ないこととの2つの大きなメリットがあります。
外出のサポートは、障害者などの排泄や移動などの身体介護を行いますが、体力的な負担は他の介護職ほどではありません。そのため正社員でなくてもパートなど柔軟な働き方ができます。また、比較的短期間でだれでも資格が取得できるのも魅力の1つですね。
障害のため、出かけることをあきらめなければならない人もいます。しかし、そんな人でもガイドヘルパーと2人で毎日の生活をより生きがいのあるものにすることができるのです。障害者の、感謝の気持ちがにじみ出たうれしそうな表情や笑顔を見せてくれた時の喜びはひとしおでしょう。
障害者の喜びを同時に自分の喜びにして、お互いに分かち合えることこそが、ガイドヘルパーの資格を持つことのプライドと言えるのではないでしょうか。