2022.04.18
障害者と関わる仕事に従事している人の場合、地域活動支援センターという言葉を耳にしたたことがあるかもしれません。しかし、地域活動支援センターが具体的にどのような活動をしているのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、この機会に地域活動支援センターとはどのような施設なのかを確認しておきましょう。また具体的な支援内容や事業の3つの類型といったものについても触れていますので、障害者や福祉の関係の仕事を目指す人はぜひご参考にしてください。
目次
障害者のために創作的活動や生産活動、地域社会とのさらなる交流のチャンスをあたえてくれるのが「域活動支援センター」と法律で定められています。
地域活動支援センターは、従来の「小規模作業所」が発展したものです。小規模作業所は、障害者自立支援法が施行される前に障害者の地域の居場所と言うべきもので、家族会が運営母体でした。就職が難しい障害者でも、簡単な作業を行うことができたり、地域の人との交流ができたり、さまざまな相談を受けることができる点がメリットでした。
地域活動支援センターはそういった小規模作業所の発展形と言えるもので、地域特性も加味されて、活動内容や利用方法も独自なものがあります。
地域活動支援センターは、自治体のパンフレットやホームページから探すことができます。
Ⅲ型の地域活動支援センターと就労継続支援はよく似ていますが、どういった点が違うのでしょうか。
Ⅲ型の地域活動支援センターは、もともとあった「小規模作業所」が進化したものだから就労継続支援によく似ているのです。就労継続支援事業所は、「障害者などが働くための場所」ですが、地域活動支援センターの方は「障害者などの暮らしのサポートをするための場所」と定義されます。
また、就労継続支援に比べて地域活動センターの方が工賃も安いようです。自治体の委託や厚生労働所の補助金で運営されているので、事業の財源や収入源も地域活動支援センターの方が少ないためでしょう。また、施設基準面では就労継続支援では個別支援計画の策定が必要ですが、地域活動センターの多くは、必要なしとされています。
さらに、地域活動支援センターは費用が発生しないため、利用者の生活状況によっては就労継続支援から地域活動センターに通所を変更する人も多いようです。今後は就労継続支援の方も無償化が望まれています。
地域活動支援センターの事業としてまず、「基礎的事業」と言う働くことがままならない障害者に、創作活動を行ったり、地域社会との交流を深めたりするチャンスを与える事業があります。
さらに、「機能強化事業」と言って、「基礎的事業」をさらに展開するもう1つの事業があります。機能強化事業は以下のように3つの類型に分類されますが、自治体によってはこの3つの類型以外のものもあるようようです。
I型
地域の医療機関・支援機関等との連携、さらに地域住民ボランティアを育てたり、その活動を啓発したりすることを専門職スタッフが行います。専門スタッフは、精神保健福祉士などの資格を持つ人が多く、そういった人が正社員となっていることが多いようです。
II型
「機能訓練」で身体機能の維持や向上をはかったり、「社会適応訓練」で対人関係のトレーニングを行ったり、例えば入浴の介助など障害者の自立や生きがいのためのサポートを行います。
III型
条件として、5年以上通所での障害者支援の実績があり、安定感のある施設がⅢ型です。どのような作業を行うのか、どのような交流の場を提供するのかは施設毎に決められます。
地域活動支援センターで行われるサポートの例をいくつかご紹介しましょう。
1.創作的活動や生産活動の機会の提供
それぞれの地域活動支援センターが独自の活動を行っています。具体的には、創作的活動としてバザーで手工芸品を売ったり、絵画や書道、音楽を奏でたりすることもあり、時には折り紙をすることもあるようです。また、生産活動として農業や園芸を行うこともあります。
さらに、料理教室、パソコン教室、就労セミナーなども行われ、レクレリエーションとして、カラオケ、ボーリングなどのイベントも行うこともあります。
2.日常生活の相談や支援 日々行う家事や就職活動、あるいは住居のことなどで障害者が悩んでいる場合、相談に乗ってあげたり、悩みを解決してあげたりすることも。さらに、公的制度を受けるための手続きの支援をすることもあります。
3.地域交流
地域の公園の掃除といった環境美化活動や、行事へ参加したり、講演会や研修などを開催したりします。
4.情報提供
住居や、就職情報、医療など障害者の生活に必要なサービスに関する情報提供です。
地域支援センターにおける支援の対象者は地域活動支援センターのある自治体の住民である障害者になります。
しかし、中にはその自治体の住民でなくても利用できる場合もありますし、年齢のわかるものや医師の許可、受給者証を提示すれば利用できる場合もあるようです。また、手続きや費用が不要な場合もあり、予約してなくても、好きな時に立ち寄って地域の人々と交流することもできます。
いずれにしても希望するセンターに直接確認してみるのが間違いないでしょう。
手続きが必要な場合の流れは以下のとおりです。
1.見学予約・利用相談
↓
2.施設見学
3.利用契約の締結
見学の申込先は、自治体の福祉担当窓口や相談支援事業所と、地域活動支援センターに直接申し込む場合とがあります。
手続きの流れや必要書類は、自治体やセンターによって異なるため、前もって確認しておくことが大切です。地域やセンターによっては、障害福祉サービスの受給者証や地域生活支援事業の受給者証を提示しなければならない所もあります。受給者証は、自治体の障害福祉課や支援課などに申請すれば入手可能です。
受給者証が必要かどうかも事前に自治体やセンターに確認しておきましょう。
障害者へ地域との接点や活動の場をプロデュースするのが地域活動支援センターです。障害者が地域の中で埋もれてしまわないように、地域社会と一体となって日常生活がおくれるように支援したり、相談に乗ってあげたりします。
とりわけ、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ人にとってはⅠ型の地域活動支援センターの求人が多く、報酬も高く、おすすめの仕事ですね。このような資格をお持ちの方は、地域活動支援センターへの就職やキャリアアップをめざしてみるのもいいのではないでしょうか。