2022.06.13
街を歩いていたり、電車に乗ったりすると赤地に白の十字とハートマークが描かれたヘルプマークを洋服やカバンにつけている人を見かけることがあります。
ヘルプマークを身につけている人を見ると、それまで座っていた人が自分の席を譲ってあげたり、シルバーシートに案内してあげたりしているシーンが目に浮かびます。 また、迷子になったヘルプマークを身につけた子供に対して、まわりの人が躊躇なく対応しているのを見かけたこともあるかもしれません。
ヘルプマークは、マタニティーマークとよく似ていますが、まだマタニティーマークほどの認知度はありません。
ヘルプマークを身につけた人に対してどのように接したらよいか不安になりますね。
そこで、この記事では、ヘルプマークを身につけることの理由や、ヘルプマークを身につけた人を見かけた場合の接し方について詳しく解説します。
ヘルプマークが必要な人や、その人を取り巻く人たちがより暮らしやすい生活をしていくためにもぜひ参考にしてみてください。
目次
ヘルプマークとは、はた目には障害や疾患を持つことが分からない人が、支援や配慮を求められていることをまわりに知らせるためのものです。
デザインは1種類で、赤の下地に白のプラスとハートが描かれています。
このヘルプマークを見て、周囲の人がバスや電車の中で座席を譲りやすく、また、声をかけて、援助の手を指し出すこともしやすくなるのです。
ヘルプマークは、東京都福祉保健局が作成し、2012年に東京都で配布が始まりました。 2019年3月31日現在、日本全国の都道府県がヘルプマークを導入しています。
配布にあたっての条件は特に限定されていません。 病気一覧があるわけではなく、さまざまな障害や疾患、困難を抱えた人が利用することが可能です。
先の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、テレビ放映やポスターの掲示などで、ヘルプマークの認知度は高まってきました。 また、おぐりんのインターネット動画などでもヘルプマークの存在が知られるようになってきています。
義足や人工関節を使用している人、妊婦初期、がん患者聴覚・言語・視覚の障害者、自閉症やADHD、発達障害などの知的障害の人などがヘルプマークの対象者です。
このように外見からは判断できないけれども援助や配慮が求められる人たちが対象になります。
また、こういった方が通院する時や電車やバスなどの公共交通機関を利用する際に、ヘルプマークを身につけていると安心できます。
特に発達障害の子供は、電車やバスの中で長時間立ち続けることや立って待っていることができないし、集中できないものです。 例えば、いつも同じ場所や電車の車両にいないと落ち着かないことがあります。 バスの中では、他人と肩が触れあうことに抵抗を感じるため、一人掛け用の席にしか座らないこともあります。 そのため、交通機関を利用することや外出することに苦痛を覚える子供もいるようです。
子供のみならず、大人の発達障害の場合も同様です。
障害があることに負い目を感じ、隠そうとしたりしがちになりますが、勇気を出してヘルプマークを提示することで、ヘルプマークを持つ人も、それ以外の人もお互いが自然に、気持ちよく生活することができます。
ヘルプマークはどこでもらえるのでしょうか。
ヘルプマークは、各自治体の障害福祉窓口や障害者福祉センター、あるいは地下鉄の駅などで入手できます。 ヘルプマークは2021年10月31日現在で全国の都道府県で導入されています。 しかし、市町村単位の自治体ではまだもらえない所もありますので確認が必要です。
東京都の場合、自治体や福祉センター以外でも、以下の地下鉄の駅などでヘルプマークが入手できます。(2021年6月現在)
上記の窓口で、ヘルプマークの使用を申し出れば、その日のうちに入手することができます。 「障害者手帳」といった障害や疾患を証明する資料の提示は不要です。
自治体によっては、ヘルプマークをもらうには、必要性のヒアリングを受けたり、ヘルプマーク交付申請書の記入が必要だったりする場合もあります。 そのため、事前に確認が必要です。
また郵送配布を行っている場合もありますので、希望する場合は確認のうえ郵送を依頼しましょう。
なお、ヘルプマークは悪用防止の意味で1人1枚が基本となります。 費用はかかりません。
また、代理人による申請もできます。
ヘルプマークをつけている人を電車の中で見かけたら、まず声をかけてあげましょう。 疲れやすかったり、立っていることが難しかったりするのかもしれません。 「だいじょうぶですか」などと尋ねて、座席を譲ってあげた方がいいのかを確認しましょう。
ヘルプマークをつけてシルバーシートに座っている人を見かける事もあるかもしれません。 そういう人は、見た目は元気そうでも障害を持っているか立っていることがつらい病気や難病を抱えている可能性があります。 若いのになぜシルバーシートに座っているのかと注意をしたり、メンヘラではないかと冷たい目で見つめたりしないようにしましょう。
また、街でヘルプマークを付けて具合が悪そうな人を見かけたら、まずは声をかけてあげることです。 話すのが難しいようであれば、ヘルプマークの裏面を見せてもらいましょう。 もし、てんかんや発作を持つ人であれば、その場合の対処方法が書かれていたりします。
さらに、ヘルプマークを付けた困った様子をしていたり、困った行動を行っていたりする人を見かけた場合も、まずは声をかけてあげましょう。 話すのが難しいようであれば、ヘルプマークの裏面を拝見させてもらいます。
その人が自閉症だった場合は、強い光や大きな音といった刺激を受けたり、電車の遅延や道路が通行禁止になっていたりするとパニックになってしまうかもしれません。
パニックの出方や状況も人によってまちまちなので、対処法も人それぞれです。 例えば、5回ゆっくり深呼吸する、静かな場所に移動する、といった対処方法がヘルプマークの裏面に書かれている場合があります。
また、同じ場所を何度も回っていたり、同じ遊びを延々と続けて帰るそぶりを見せなかったり、たり、ある物を触り続けていたりする人を見かけることもあるでしょう。 こういった人は、おおむね感情や行動の切り替えが難しい人たちです。 そういった場合も、まずは声をかけてあげて、会話が難しいようであれば、ヘルプマークの裏側を拝見せてもらうようという手順で対処しましょう。
ヘルプマークを付けている人たちは、一見、普通の人とほとんど変わりがないように見えます。 しかし、実情は誰かの助けを待ち望んでいるのかもしれません。
特に発達障害の人は、他人とのコミュニケーションがうまくできない人が多いでしょう。 そういった人が知らない人に自分から声をかけることは至難なわざです。
そこで、ヘルプマークを身につけている人を見かけたら、こちらから積極的に出して声をかけてあげましょう。
「だいじょうぶですか」「何かお手伝いすることはありませんか」「どうぞこの席に座ってください」などです。
自分のことを見守ってくれている人がいることがわかり、ヘルプマークを付けている人たちは安心して外出することができるのです。
こうしてヘルプマークの効果が発揮され、お互いに助け合う社会が実現されれば最高でしょう。 ヘルプマークは、こうした理想的な社会を実現するための足がかりになるものではないでしょうか。