2022.10.03
「生活相談員」あるいは「ソーシャルワーカー」という言葉を病院や介護施設などで耳にすることがあります。
しかし、どんな仕事を行っているのか、資格試験に合格する必要があるのかなど、詳しいことを知っている人は少ないのではないでしょうか。 「介護職員」という言葉の場合は、その仕事内容を想像できる人が多いと思われますが、生活相談員となると、どのような仕事内容なのかが分かりにくいのが実情です。
「生活相談員」の具体的な仕事内容はどのようなものなのでしょうか。 支援相談員やケアマネージャーとはどこが違うのでしょう。
また、「生活相談員」になるために必要な資格はあるのでしょうか。
目次
相談業務や調整業務が生活相談員に与えられたミッションとなります。 つまり、他職種や他機関、他施設との調整を行ったり、利用者とその家族からさまざまな相談を受けたりします。
生活相談員はソーシャルワーカーとも呼ばれることもあります。
職場は介護施設が中心で、例えば、デイサービス事業所、特別養護老人ホーム、ショートステイ事業所などです。
介護福祉施設と利用者やその家族との仲介役となって、かつ介護サービスの窓口ともなります。 ありとあらゆる「連携・調整」がその使命といえるでしょう。 具体的な仕事は、介護福祉サービスにおける、相談対応、各種手続き、関連する施設への連絡や調整、地域やさまざまなコミュニティとの連携などです。 そうして、高齢者の自立を支援し、介護サービスの質の向上を目指します。
「生活相談員」と呼び方がよく似ている職種に、「支援相談員」という職種があります。 「生活相談員」の仕事は、いろんな種類の介護施設に勤務し、入居している高齢者の相談業務などです。 一方、介護老人保健施設で働きながら、入居者の方への相談業務を行うのが「支援相談員」の仕事です。 介護老人保健施設は、退院した方が在宅での療養に戻れるようリハビリを行う施設ですので、ここで入居者の在宅復帰のための支援を行います。
生活相談員とケアマネージャーはどこが違うのでしょうか。 仕事の内容 介護保険サービスを利用するための、支援計画書であるケアプランの作成や介護福祉施設との連絡・調整を行う専門職がケアマネージャーです。 つまり、利用者やその家族が、個々のニーズに従った介護サービスの利用ができるようにするのが目的です。 一方、生活相談員の方は、ケアプランの作成は行なわず、ケアマネを含めた介護サービス関係者と利用者の橋渡し役として、幅広くその活動の支援を行います。
職場 生活相談員は各介護施設やデイサービスなどが職場ですが、ケアマネージャーの方は、居宅介護支援事業所と介護施設の両方がその職場です。
必要な資格
一般的に生活相談員に必要なのは、精神保健福祉士、社会福祉士、社会福祉主事のうちの1つの資格で、さらに勤務希望地域の自治体が定める要件をもクリアしなければなりません。
その一方、ケアマネージャーの方は、介護支援専門員の資格を取得しなければなりません。
配置人数
生活相談員は、特別養護老人ホームでは利用者100人に対し1人以上常勤者を設置しなければなりません。
その一方、ケアマネージャーの方は、特別養護老人ホームでは常勤の職員が1人以上必要で、利用者の人数との比率の定めは特にありません。
生活相談員の主な仕事内容をまとめると以下になります。
・施設の入退所の手続き・サービスの利用開始や中止に関する業務 ・充実した介護サービスを提供するための環境整備
・利用者および家族に対する相談援助
・介護職員のサポート
・ケアマネージャー、地域、他機関との連絡・調整業務
・施設内や事業所内における連絡・調整業務
・デイサービス等の個別援助計画の作成・ケアプラン作成の援助 ・クレーム対応や窓口業務
以上のように、生活相談員は、「相談」と「連携」と「調整」の3つの役割に集約されます。
具体的には、ケアマネージャーの策定したケアプランの目的に従った支援や、関係者への情報提供などです。
なお、生活相談員の仕事内容は、明確に定義されているのではなく、生活相談員は介護業務も兼ねて働いていることが多いようです。 よって、身体介護や生活援助などの専門的な知識と技術も必要とされます。
「生活相談員」は国家資格などではなく、あくまでも職種の名前のことです。
生活相談員になるためには、資格試験などを受ける必要もなく、各自治体の定める要件さえクリアしていれば未経験でも問題ありません。 とはいえ、資格なしでは、知識やスキルを獲得することが困難なので、資格取得は必須でしょう。
各自治体によって、生活相談員になるための資格要件は異なります。 一般的に生活相談員になるための要件となる資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格の3つです。
またそれ以外にも、介護福祉士やケアマネージャーなどの資格が要件とされている都道府県もあります。 それぞれの自治体の定める資格要件については、あらかじめ各自治体に確認しておきましょう。
さらに、自治体によっては、2年以上の介護業務経験があればよいといったように、資格を所有していなくても、所定の実務経験さえあれば、生活相談員になれるところもあります。
例えば東京都の場合は、老人福祉施設の施設長経験者が必要です。
神奈川県の場合は、介護保険施設または通所系サービス事業所において、常勤で2年以上、勤務日数では360日以上の介護業務における実務経験が必要とされます。
福岡県の場合は、社会福祉施設等で3年以上の実務経験が必要です。
こういった例からもわかるように、生活相談員を名乗るための資格要件は自治体によって違っています。
記事内容を振り返りつつ、記事の作成テーマに合わせてまとめてください。
生活相談員は介護分野での活躍範囲はとても広く、必要としている施設もたくさんの種類のものがあります。
利用者と施設や他機関等との間に入って調整したり、苦情を受けたりと苦労も多いかもしれません。
また、生活相談員は介護サービスにつなげる重要な窓口であり、その時々の状況に応じて、問題を解決する力や軽いフットワーク、人脈を作る能力なども合わせて必要でしょう。 問題解決に役立たせるための知識も必要で、覚えなければいけないことも膨大です。 しかし、それだけ多くの知識やスキルを獲得することができます。 専門性を発揮して問題を解決に導き、利用者や家族から感謝された時にこそ大きなやりがいを感じることでしょう。
利用者や家族がいつでも安心して相談することができ、外部の専門職からも頼りにされる存在として、生活相談員は、これからの介護の世界での活躍が大いに期待されています。