2022.11.08
ある一定の年齢で一般的とされる行動や反応と比較して、実際の子どもの心や体の発達がどれくらい開きがあるのかを調べる「発達検査」という検査があります。 いったいどのような検査なのでしょうか。
発達検査の中にもいろんな細かい検査があるようです。 発達検査は、発達障害であるなどと診断するための検査ではなく、子どもの客観的なデータから、よりよい支援を行うことができます。
では、発達検査の種類や内容は具体的にどのようになっているのでしょうか。 子どもが発達遅れではないかと疑う場合は、すぐにでも発達検査を受ける方がいいのでしょうか。
目次
発達検査とは、子どもの発達水準や知能を調べる検査のことです。
検査の結果、子どもの育て方のアドバイスを得ることができます。 例えば、子どもの発達の特徴や、普段の子どもとの接し方のヒントが得られます。さらに、参考として、子どもの育ちに関する情報を得ることも可能です。子どものための療育支援も、発達検査の結果をベースにして策定されます。
発達の遅れがあることを、幼稚園や保育園などの教育機関で指摘されることもありますし、乳幼児健診や医療機関の受診時に、指摘されることもあるでしょう。
家庭での子どもの様子を見て、大人が子育て支援センターといった相談機関に相談し、検査を受ける場合もあります。発達検査の結果のみで診断名が付くわけではありませんのでご安心ください。 行動観察などの臨床診断や、発達検査や知能検査などの専門診断の結果も含めて、総合的に判断されてから初めて診断名が付きます。
自分の子どもが、言葉が遅れており、勉強への取り組み方や人との接し方がわからないのではないかという悩みがある方は受診の検討をされてみてはいかがでしょうか。
発達検査には①~⑦の種類のものがあります。 医療機関や医師によって検査方法もさまざまなので、評価方法や検査結果の表現方法は検査によって異なります。 受けたい検査がある場合は、最寄りの受診機関で対応してもらえるかどうかを事前に問い合せた方がいいでしょう。
①新版K式発達検査 (※よく使われます) ②乳幼児精神発達診断法 (※よく使われます) ③日本版Bayley-III乳幼児発達検査 ④ASQ-3 ⑤KIDS乳幼児発達スケール ⑥ブラゼルトン新生児行動評価法 ⑦日本版デンバー式発達スクリーニング検査
特には①②は日本ではよく使われる検査です。
日本の発達検査に使用されることが多い検査方法として、「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」とがあります。
新版K式発達検査 その年齢で一般的とされる行動や反応と比較して、対象児童の行動や反応に開きがないかどうかを評価する検査です。 以下の3つの項目の評価がされます。
①姿勢・運動 ②認知・適応(※3歳以上の評価のウエイトが高い) ③言語・社会(※3歳以上の評価のウエイトが高い)
①~③の項目における社会・運動・認知の各方面から、どれくらい発達しているのかを示す「発達指数」と、検査を受けた子どもの精神年齢である「発達年齢」とが示されます。
検査者は検査結果だけではなく、言葉の反応や感情・情緒、動作も含めて、総合的に判断します。 そのため、乳幼児の検査には、積木やミニカーやガラガラなど乳幼児が普段よく使うおもちゃなどがよく使われるようです。 普段から乳幼児が親しんでいるものなので、子どもの状態や障害に左右されずに、ごく自然な普段の生活の状況として診断ができるでしょう。
乳幼児精神発達診断法 新版K式発達検査と同様に、その年齢で一般的とされる行動や反応と比較して、対象児童の行動や反応に開きがないかどうかを評価する検査です。新版K式発達検査の場合は、子どもと面接者の面接ですが、こちらは保護者と面接者が個別に面接し、子どもの様子をヒアリングする方法です。乳幼児精神発達診断法では「発達プロフィール」という発達状態を示す折れ線グラフのような図が作成されます。 発達の遅れや、発達障害が認められれば、一定のプロフィールパターンが表示されるので、その時点でわかる仕組みです。
乳幼児精神発達診断法には、以下の2つの方法があります。 ①津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法 ②遠城寺式乳幼児精神発達検査
■津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法 約20分間、子どもの養育者(母親など)に個別面談します。
生後1カ月~7歳までの子どもに、以下の3種類の質問紙で検査・面接を行います。 ①1から12カ月まで ②1から3歳まで ③3から7歳まで
また、発達年齢を判定するために、次の5つに関する438の質問をします。 ①生活習慣 ②探索 ③言語 ④運動 ⑤社会
■遠城寺式乳幼児精神発達診断法 生まれてから4歳8カ月までの子どもの養育者(母親など)に個別面談することで診断を行います。 約15分間、次の3つに関する6つの質問をします。
① 運動 ② 社会性 ③ 理解・言語
質問の回答から、「発達プロフィール」というグラフが作られます。 さらに、数値を踏まえて家庭や学校などで、配慮すべきことや療育・学習方法が記載された「検査報告書」が作成されます。 「検査報告書」には、検査結果の通知や、検査結果から言えること、日常生活で配慮すべきことの3つが記載されています。 「検査結果から言えること」に書かれている内容は、なぜ発達が遅れたのか、どれくらい発達が遅れているのかなどについてです。 また、「日常生活で配慮すべきこと」に詳しく書かれている内容は、日頃の子どもへの気の配り方や、どんな療育支援を行ったら良いのかなどです。 検査機関によって「検査報告書」は有料のものと無料のものとがあります。 検査形態や検査報告書の有料・無料は事前に検査機関に確認するようにしましょう。
発達検査は、乳幼児の健康診断や乳幼児健診や医療機関の受診時に指摘されることが多いようです。 あるいは、幼稚園や保育園などの先生からも、受診をすすめられることがあるようです。 発達検査を受診すれば、発達障害であると診断をくだされるのではないかと不安になるかもしれません。 しかし、発達検査は発達障害と診断される検査ではなく、客観的なデータを得られることにより、両親が育児の方向性のアドバイスを受けることができるのです。 その結果、育児の見通しが立てられ、子どもを育てるための最適な接し方を得ることができます。 もしかして、自分の子どもの発達が遅れているかもしれないと不安を感じたら、積極的に発達検査を受けてみるのがいいのではないでしょうか。