2024.04.10
こんにちは。栃木県・群馬県の障害者グループホーム「ファミリー」編集部です。
大人だって、辛いとき、寂しいときは誰かそばにいてほしいと思うことがあります。
新生児が正しく育っていくためには「愛着形成」が大切であると、看護や子育てに関する記事が掲載された雑誌などで目にすることがあります。
愛着形成とはいったいどういったものなのでしょうか。
愛着形成は、新生児から乳児期までに形成されると思われていますが、乳児期後も愛着形成は続けることができます。
しっかり愛着形成をし、乳幼児期を過ぎても愛着形成を続けていくためにはどのようなことをすればよいのでしょうか。
目次
乳幼児と親や保育者といった養育者との間に情緒的結びつきが形成されることを「愛着」と言います。 英語では「アタッチメント」と言い、イギリスの児童精神医学者ジョン・ボウルディが提唱した言葉で、今日では保育や看護といった子どもに関連する分野で研究されています。
赤ちゃんは、安心感を得るために、養育者に向かって泣いたり声を出したりといった働きかけをするようです。
大きくなるに従って、この働きかけは、だっこをして欲しがったり、そばに来てべったりくっついたり、目で行方を追ったりする行動に変化します。
子どもが働きかけ、養育者がそれに答えることと、養育者が働きかけ、子どもがそれに応えることが相互に作用し、両者間に情緒的結びつきである「愛着形成」がされるのです。
愛着形成は4段階のステップがあります。 順番に解説していきましょう。
1.人物を特定しない働きかけ 0歳児から8〜12週までは、どんな人がどんな接し方をしてくるのかを見分ける時期です。 赤ちゃんはすべての人の動きや表情を見て、笑ったり手を差し出したりします。
2.特定の人物に対する働きかけ 生まれてから半年程までの時期になると、小児は親密な特定の大人などへより強い興味を持つようになります。 これまでは誰にでも笑いかけたり手を差し出したりしていましたが、母親など、一緒にいる時間が長い人に特定されるようになります。 しかし、母親などがそばにいなくなっても泣いたりするようなことはありません。
3.特定の人物に対する愛着行動がより強くなる 2歳〜3歳くらいの時期になると、母親など特定の人に対しての働きかけがより強くなってきます。 例えば、特定の人には抱き着くなどの愛着行動を見せるのですが、その人がいないときは泣いてしまうといった行為です。
特定の人以外の人がいると警戒したり不安を覚えたりして、確実に愛着を持つ人とそれ以外の人との区別ができるようになります。
4.対象者がいなくても愛着を維持できる 2〜3歳を過ぎた時期になると母親など特定の人物が不在でも愛着を保ち続けることができるようになります。
この段階の子どもはこれまでの段階よりも精神的な成長が見られます。 さらに、母親など特定の人の感情や行動を読み取り、自分の感情や行動をコントロールできるようになります。
そして、愛着には、形成の進み具合によって以下の4つの型に分類されます。
安定型 日本の赤ちゃんの60パーセントはこのタイプです。 母親がいなくなったときは泣いたり後を追いかけたりしますが、母親が戻ってくると喜びの反応を見せます。 親と子ども双方向のコミュニケーションが取れているタイプであり、子どもにはいつも安心感があります。
回避型 母親がいなくても後を追うこともせず不安な感情を示すこともありません。 日本の子どもの15パーセントはこのタイプです。 十分なコミュニケーションがとれていないため、子どもの働きかけに大人が応えていないのが原因です。 子どもが泣いているのに知らん顔をしたり怒ったりして、なぐさめることをしないとこのタイプになると言われています。
不安型 母親がいないときに大泣きしたり混乱状態になったりして不安な感情をあらわにします。 母親が戻ってくると、再び抱きついたりしますが、たたくようなしぐさを見せ、どうして離れたのかと訴えるのが特徴です。
無秩序型 大泣きしたり感情を乱したりすることはなく、母親とは割とあっさりと離れることができるのですが、再会したときは目を合わすことがありません。 かえって、知らない人に対して安心感を持っているような態度を見せることもあります。 親からおざなりな育児や虐待を受けて、愛着形成不全となっていることが原因のようです。
愛着形成が大切な理由について解説しましょう。
基本的信頼の獲得につながる 「おやつをちょうだい」「だっこして」などという要求を、子どもは母親などへ向けます。 そこで、母親などが愛情を持ってそういった要求に応えてあげることで、子どもは「自分は受け入れられ、愛されている」という感覚を持ちます。 こうして子供から母親は「基本的信頼」を得ることができ、愛着が形成されるのです。
自己肯定感を育む 自己肯定感を育むうえで「基本的信頼」は欠かすことができません。 自分は愛する人に受け入れてもらえているのだと自信が持てるようになります。
自己肯定感は、安定した気持ちと、ストレス耐性、主体性、積極性を育てます。 自信があり、自分で自分を受け入れることができるので、自分と他人を比較することもありません。 その結果、他人を尊重し、上手な人間関係を導くことができるのです。
将来の対人関係にメリットをもたらす 幼児期の愛着形成は、人間関係のモデルとなり、将来の他者との人間関係の築き方にメリットをもたらします。
愛着形成がしっかりできていれば、自己肯定感を十分に持つことができ、自分を信じることができるでしょう。 その結果、他人も信じることができるようになり、他人とも良い人間関係を築くことができます。
愛着形成が不完全な場合、自己肯定感を十分に持つことができず、自身が持てなかったり、他人が信じられなくなったりするでしょう。
子どの発育に愛着形成が大切なことがわかりました。 子どもとどのように接すれば、しっかりした愛着形成がされるのでしょうか。
授乳やミルクの時は、子どもの目を見る 赤ちゃんと目をしっかり合わせて、穏やかな気持ちでやさしく語りかけながら授乳したりミルクをあげたりするようにしましょう。 テレビやスマートホンを見ながら授乳するのはよくありません。
「好き」「かわいい」「かっこいい」をたくさん伝える 0歳のときは100回、1歳では50回以上、2歳では30回以上、3歳からは10回以上などと1日の目標回数を定めて、「好き」「かわいい」「かっこいい」をたくさん伝えるようにしましょう。 ことばで愛情を伝えることはとても大切なことです。
ふれあい遊びやマッサージを行う 夜寝る前や朝目覚めたときに頬やおでこにキスをしたり抱きしめたりして、スキンシップを高めるようにしましょう。 スキンシップは、愛着づくりには欠かせません。
あるがままの子どもを受け入れる 人見知りの子どもは、両親など特定の人への愛着が育っていることの証明です。 親しい人とそうでない人の区別ができるようになった結果とも言えます。 母親から離れないようならばそれはそれとして、あるがままの子どもを受け入れるようにしましょう。
言葉がわかるようになったら笑顔で話しかける 言葉がある程度わかるようになった子どもには、笑顔で優しく言葉をかけるようにしましょう。 例えば子どもがよくないことをしたら笑顔で「ダメだよ」と言ってあげます。 子どもは、たとえよくないことをしても大人は自分のことを愛してくれているのだと悟るでしょう。
これまでの子どもとの接し方に、愛情が足りなかったのではないか、やり直したいなどと感じたことはないでしょうか。
このようなときは、今からでも遅くはありませんので、子どもとの関わり方をチェックしてみましょう。
子どもの要求を受け入れ、できる限りその要求に応え、適切な愛着形成を着実に実行するようにしましょう。
しかし、自分や家族だけで愛着形成を行うのが難しいと感じることもあるかもしれません。 そういった場合は、決して無理せず、専門機関に相談してみるのも一つの方法です。
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