ホーム > ニュース > 子どもの発達に欠かせない粗大運動とは?微細運動との違いと発達の目安について
2023.05.12
「粗大運動」という言葉を、テレビや病院などで耳にしたことがあるでしょうか。
いったいどんな運動なのかとついつい考え込んでしまいますね。
立ったり、座ったり起き上がったりといった基本となる行動のことを粗大運動と言います。
粗大運動は、子どもの発達には欠かせないと言われていますが、どうしてなのでしょうか。 また、微細運動とはどこが違うのでしょうか。 粗大運動の発達の目安はいつごろなのでしょう。 さらに、粗大運動を促すためにはどのような方法があり、相談したい場合はどこで聞けばいいのでしょうか。
目次
座ったり、立ったり、走ったり、歩いたりといった、赤ちゃんの生活の土台となる運動が粗大運動です。
粗大運動は、赤ちゃんの発育につれて獲得できたり変化したりします。
例えば、生後3か月ごろから赤ちゃんは寝返りを打ち、その後ハイハイやつかまり立つことができるようになり、やがて歩くことができるようになりますが、その一連の行動のことです。
子どもの時でも大人になってからも、どんな人でも、毎日立ちあがったり座ったり、歩いたり走ったり、あるいは一定の姿勢を保ったりして生活しています。
大きくなって、スポーツをする際に、手足や目など、複数の箇所を同時に動かさなければなりません。 こういった動作も粗大運動の組合せによってできるものです。
どんな生き物でも粗大運動という能力を備えています。
「粗大運動」と対になる言葉に「微細運動」があります。
粗大運動を行っていた赤ちゃんは、大きくなるにつれて微細運動もできるようになります。
例えば、指先などを使って、何かをつまんだり、クレヨンで絵を描いたり、箸を使ってご飯を食べたり、コップで水を飲んだり、積み木などを使って遊んだりといったぐあいです。
大人になって職人になって、微細運動の集大成として日本の伝統工芸を制作するようなことまでできるようになることもあります。
粗大運動はどんな動物にも備わっている能力ですが、微細運動は人間などの類人猿にしか見られないもので、進化の過程で備わった能力といえましょう。
粗大運動ができるようになる時期は赤ちゃんによって違いますが、目安としては以下のとおりです。
首がすわり手足を動かすようになります。 この頃になると、赤ちゃんの首が座ってきて、うつぶせの状態から胸を上げる動作もできるようになります。
首がすわるようになり、支えがあればお座りもできるようになり、視野も高くなるのがこの頃です。
腹ばいになったまま腕や足の力で移動する「ずりばい」や四つん這いで移動する「ハイハイ」ができるようになります。
何かにつかまって立ち上がることができるつかまり立ちや、何かにつかまりながら歩く伝い歩きができるようになり、次第につかまるものがなくても歩ける時間が長くなります。
この頃になると、支えるものがなくても一人で歩くことが可能です。 バランス感覚が発達し、脚の力も強くなり、手足も自由に使えるようになり、緩やかな傾斜や階段の上り下りができるようになり、行動範囲も広がります。
クッションなどを使って姿勢を保てるようにすれば、まだバランスが取れず不安定な状態であるお座りをはじめたばかりの頃でも安心です。 長時間お座りは、赤ちゃんの腰に負担をかけてしまうので、無理のないよう、お座りの時間を少しずつ延長していくようにしましょう。
少し離れた場所にお気に入りのおもちゃを置いて、赤ちゃんがそこまではって行けるようにしてみましょう。
つかまり立ちやつかまり歩きがしやすいように、つかまることができるものを設置してあげたり、道の上をきれいにかたづけて歩きやすくしあげたりするようにしましょう。
また、いつころぶかわからないので、赤ちゃんから目を離さないことです。
そこまで歩くのだという意欲を引き出すために、おもちゃを少し離れた場所に置いてもてはいかがでしょうか。 手を取って赤ちゃんが歩くのをサポートしてあげるのもよいでしょう。
赤ちゃんが歩きまわっても落ちる心配がないように、柵を階段の前に設けるなどの対策も忘れてはいけません。
歩けるようになった赤ちゃんと、いっしょにならんで歩いてあげると、手足をバランスよく動かすことができるようになります。 さらに、手を振りながら歩いてあげるといっそう高い効果が得られるでしょう。
エスカレーターよりも階段を使って歩いた方が、粗大運動の発達に有効です。
ボールプールなどで運動すると、視覚、聴覚、触覚などの感覚刺激が刺激され、運動によって起こる刺激を適切に処理することができるようになります。 そうして、自分から好きな刺激を求めて動くようになるでしょう。
縄跳びやブランコ、マット運動、平均台、バランスボール、トランポリンなどは粗大運動の発達を促進します。 これらの粗大運動を複数組み合わせて行うことによって、応用的な動作もできるようになるでしょう。
発達には個人差があるので赤ちゃんの粗大運動が目安よりも遅れているからといっても、それが直ちに障害や疾患が原因というわけではありません。
しかし、赤ちゃんの発達が気になる場合はかかりつけの専門医などに相談するのがよいでしょう。
かかりつけの専門医なら、その子を継続して診断しているため、粗大運動の他にも、身体や精神の発達具合なども含めて総合的に判断がすることができます。
あるいは、保健センターに訪問したり電話をしたりして、赤ちゃんや子どもの健康や子育ての悩みなどを相談できるなど、健康や衛生に関する保健サービスを受けることができます。 また、保健センターでは、1歳6カ月検診時に粗大運動の検査も受けることも可能です。
さらに、赤ちゃんの発達の遅れが心配な場合は、自治体の相談窓口に問い合わせてみることもおすすめします。
粗大運動の発達の遅れがありそうな子どもを持つ親のための、育児の相談窓口あるいは、機能訓練を行ってもらえる施設などは、自治体のホームページなどで探してみましょう。 あるいは、最寄りの自治体の障害福祉窓口で相談してみましょう。
粗大運動も微細運動も、突然能力が身につくものではありません。 少しずつ運動に取り組むことで、少しずつ身についていきます。 まわりの人は、長い目で見てあげて、子どもの積極的に動こうとする前向きな姿勢や、運動自体に興味を持つことをほめてあげることが大切です。