2022.11.10
発達障害とは、先天的な脳機能障害を原因とするもので、自閉スペクトラム症、多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。
最近は、発達障害への理解が進み、2016年には障害者差別解消法も施行されました。 教育や就労などにおいて、合理的配慮が求められるようになってきています。
ひと昔前までは”ちょっと変わった子どもと思われていた人たちも、検査の結果、発達障害と診断される子どもが増えてきているようです。
ところで、二次障害とは、そうした発達障害などが原因で発症する症状です。 二次障害とはどのようなものなのか、そしてその対処や予防法はあるのでしょうか。
目次
二次障害とは、発達障害などの一次障害を原因に発生する障害のことです。
二次障害には「内在化障害」と「外在化障害」との2つがあります。
内在化障害とは、精神疾患や症状のことで、例えば以下のものがあります。
・うつ病 ・不安障害 ・ひきこもり ・統合失調症 ・境界性パーソナリティ障害(人格障害) ・強迫性障害 ・摂食障害 ・睡眠障害 ・頭痛や腹痛
一方、外在化障害とは、抱えている不安や憤りなどの感情を他社に向けることで問題を引き起こす行動のことで、以下のものがあります。
・行動障害 ・反抗挑戦性障害 ・行為(素行)障害 ・反社会的な行動 ・触法行為
発達障害のある方は、他人とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、周囲の行動に合わせた臨機応変な行動をとることができなかったりします。
周りの人に理解してもらえず、単に変わった考えの人とか、変なことをする人と思われ、行動を制限されたり、叱られたり、注意されたりしてしまうのです。
このようなつらい経験が積み重なると、ストレスがたまり、成功体験を得ることもなく、その結果自分に自信が持てず、自己否定感が増してしまいます。
その結果、ネガティブな感情に満たされてしまい、「何をやってもうまくいかない」「どうせ失敗するだろう」と常に考えるようになってしまいます。 ひどい場合は、家から出たくないという状態におちいることもあるようです。
人間関係のストレスや、仕事や学業のストレスが原因となって、二次障害が発症するということがわかります。
二次障害の対する対処方法や予防方法にはどのようなものがあるのでしょうか。 いくつかご紹介しましょう。
二次障害の症状と一次障害の両方と向き合う 二次障害を発症したら、専門医にまずは相談をし、その専門医の指示に従い、しっかりと治療に専念するようにしましょう。 二次障害と一次障害のいずれの症状をも持つことを自覚し、しっかり向き合うことが大切です。
かかりつけの医師の指導に従った暮らし方をし、通院し、服薬をします。 特にうつ病などの精神疾患が、もはや治癒されたと思われる場合でも、勝手に医師から指示された暮らし方や、通院、服薬を中止してしまうことのないようにしましょう。
精神疾患はすぐには治らないものであり、再発のリスクも非常に高いものです。 そして、再発を繰り返せば繰り返すほど、再発リスクはますます高まっていく傾向があります。
治療方針を決める 自分1人だけでは、あるいは家族の協力があったとしても、二次障害と向き合うことは困難です。 専門医の指導やアドバイスを受けなければ、二次障害を克服することはできないでしょう。
発達障害であると診断を受けた場合は、定期的に通院することになります。 主治医は、あなたの発達障害の状態や性質なども把握しており、二次障害への適切な対処法も教えてくれるでしょう。
発達障害の程度が低く、支障なく生活ができている場合、専門医の診断を受けていないかもしれません。 そのような場合は、かつてのかかりつけの専門医に相談してみてはいかがでしょうか。
あるいは、最寄りの精神科や心療内科で診察を受けてみるのもいいでしょう。 治療方針に違和感を覚えた場合は、迷うことなくセカンドオピニオンとして、別の専門医を訪ねましょう。
こうして、医療機関などの専門機関に診てもらうことで、治療方針を決めていくことが大切です。
周囲の人はその人の困難に気づき、理解する 最も大切なことは、できるだけ早くその人の二次障害に気づいてあげ、理解してあげることです。
たとえば子どもの様子に気になる点が見られる場合は、親はできるだけ早く医療機関を受診させるようにしましょう。
自己肯定感は、幼い頃からの周囲人の理解によって育っていくものです。 周囲の人からの理解や受け入れを感じ取ることで、自己肯定感を高めていくことができるでしょう。
その人が生きやすい環境をつくったり、変えたりする 気になる症状に気が付いたら、速やかに医療機関に診てもらうようにすることは大切です。
そして、その人の症状を十分に理解してあげたうえで、ストレスを感じにくい環境をつくってあげたり、環境を変えたりすることで二次障害の進行を抑制することが可能です。
その人のできることに着目すること 「自己肯定感」とは、自分は価値のある人間だと思える自信で、自分のことを大切にすることです。
二次障害を持つ人は、この自己肯定感がひどく低下しています。 周囲の人が、その人の自己肯定感を高めてあげることが、二次障害の予防と対策で最も大切な点でしょう。
例えば、何か失敗したとしても、「失敗してもいいのだよ。よく頑張ったね」などと、頑張ったプロセスを認めてあげることです。 不得意なことには目をつむり、その子のよいところや頑張っているところを褒めてあげましょう。
そうすれば、子どもは、今の自分をしっかり見てくれる人がいるのだと安心するでしょう。 ほめられれば自信がつくので、不得意なことも頑張ろうと思うのです。
こうして、幼い頃からしっかりとした親子関係の愛情を持って支援してあげることが、子どもの自己肯定感を育て、結果的に二次障害の予防となるでしょう。
二次障害の相談支援ができる機関や事業所があります。 いくつかご紹介しましょう。
就労移行支援・就労継続支援事業所 一般の事業所での就労を目的として、就労に向けたさまざまな支援サービスを行うのが就労移行支援事業所です。
発達障害者の二次障害についてもアドバイスや支援を行っています。 また、就労継続支援事業所に通所する二次障害がある利用者に対しても必要なアドバイスや支援を行います。
発達障害者支援センター 発達障害の人や家族が地域で豊かに生活できるために、関係機関と連携し、本人や家族からの相談に応じ、支援やアドバイスを行っているのが発達障害者支援センターです。
ここでも、発達障害者の二次障害についてもアドバイスや支援を行っています。
ひきこもり地域支援センター 関係機関とのネットワークを活用しながら、ひきこもりに悩む本人や家族からの相談支援を行っているのがひきこもり地域支援センターです。
ここでも、二次障害に悩む人に対しても必要なアドバイスや支援を行っています。
二次障害は、内在化障害や外在化生障害といった形で発症します。
二次障害は、家庭や職場など周りの人とのストレスが生み出すものです。 発達障害を持つ人は、その性質からストレスを招きやすいので、二次障害になりやすいと言えるでしょう。
二次障害に気づいた段階でなるべく早急に適切な対応を取れば、症状が進むことを抑えることができます。
気分の落ち込みや体調の不安を感じる場合や、悩みごとがある場合、無理をせずに焦らず、ただちに専門機関に相談するようにしましょう。
そして、発達障害者支援センターといった二次障害の相談ができる事業所や機関で、支援を受けることもおすすめします。