2024.03.15
こんにちは。栃木県・群馬県の障害者グループホーム「ファミリー」編集部です。
発達障害のある子どもの発達支援には、「応用行動分析学(ABA)」が有効とされています。
「応用行動分析学(ABA)」とは、簡単に言えば、適切な行動をたくさんとらせるようにし、不適切な行動をなるべく減らして子どもの発達をサポートするための方法です。
子どもが不適切な行動をとる場合、その行動の働きや意味から判断して、子どもが暮らしやすくなるように対処するためのものということになります。
この記事では、「応用行動分析学(ABA)」についてわかりやすく解説します。 応用行動分析(ABA)が提供されている場所やサービスについても触れていますのでぜひご参考にしてください。
目次
「応用行動分析学(ABA)」の「ABA」は「Applied Behavior Analysis」を略した言葉で、アメリカの心理学者バラス・スキナーによって提唱されました。
「生き物の行動には、法則がある」という考えが基本にあり、行動を分析することによって、ある法則を導き出します。 その結果、人の日常行っている不適切な行動をおさえ、適切な行動をとるように仕向けるのです。
教育や福祉、医療、企業、スポーツなどの分野でも「応用行動分析学(ABA)」は活用されており、成果もみとめられています。
「応用行動分析学(ABA)」は、自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害の子どもの発達支援の補法として世界中で活用されています。
「応用行動分析学(ABA)」のアプローチとして1.「強化する」、2.「弱化する」の2つのパターンをご紹介しましょう。
「応用行動分析学(ABA)」では、行動が終わった直後によいことがあった結果、その行動が行われやすくなることを「強化」と言います。 つまり、人がある行動をとった直後に「よいこと」があると、その人はそれ以降、同じ行動をとりやすくなるのです。
たとえば、近所の人にあいさつをしたら親にほめられたというできごとがあると、それ以降も近所の人にあいさつをするようになるでしょう。他にもおもちゃを片付けたらほめられた、洗濯物を畳んだら喜んでくれた、などの出来事を経験させることで良い行動を促していきます。
ある行動を行った直後に「よいこと」が起きるために、その行動をとりやすくなることを、「強化」と言い、行動の後に起こるよいことそのものを「強化子」と言います。
強化子は人によって異なりますが、行動をとりやすくするためのきっかけとなるものであれば、何でもかまいません。
たとえば、子どもが何か行動を行った後に「えらい」、「すごい」「よくやった」「がんばったね」などとほめてあげたり、お菓子やおもちゃを買ってあげたり、くすぐってあげたり、抱っこしてあげたりといった言葉や行為が強化子になります。
強化子はほめ言葉とはかぎりません。 たとえほめ言葉でも、その子にとって行動をとりやすくするものでなければ、強化子ではありません。
また、嫌なことのように思われる叱られることでも、そのことによって、「目立つ」「相手にしてもらえる」などの理由で行動をとりやすくなる場合は、その子にとっては強化子であると言えます。
従って、子どもの支援に関しては、不適切な行動の強化子となっているものは何かを分析することや、適切な行動をとるようにさせるためには、どんなことが強化子になるのかを知ることが大切です。 「強化」を上手に利用するコツを解説します。
①プロンプト お手本を見せてあげたり、教えてあげたりする手助けのことです。 子どもに成功体験を与えることで早くから能力を引き出します。
②スモールステップ たとえば、下着をうまく着ることができない子どもの場合は、ほとんど着せてあげて、最後に袖をのばすところだけ本人にやらせてみましょう。 そして、できたとほめてあげましょう。 スモールステップで少しずつ自立度を高めていくのが効果的です。
③できていることをほめてあげる 5分間静かにしていることができたらほめてあげる。 何も言われずにゴミを捨てることができたらほめてあげる。 できないことを怒るのではなく、少しでもできていることに注目してほめてあげることで適切な行動は定着します。
ある行動の直後に「嫌なこと」が起きると、その行動を取りにくくなります。 「応用行動分析学(ABA)」ではこのことを「弱化」と言います。
ある行動の後に嫌なことが起きて、よいことが起こらない場合は、その行動は次第に減っていきますが、このことを「消去法」と言います。
たとえば、行動を取る前に「ここではおもちゃを買わない」、と母親に言われて、「おもちゃが欲しいので泣き叫ぶ」という行動をとります。 そして、その結果、おもちゃを買ってもらえなかったというようなケースです。
「泣き叫ぶ」といった行動を行った後に「おもちゃを買ってもらえる」というよいことが起きなかったので、その行動は次第に減っていきます。
このように、消去法を活用して不適切な行動を減らすこともあります。
買い物中に泣き叫んでも、お菓子を買ってもらえないのならば、次第に泣き叫ぶことはしなくなっていくでしょう。
また、廊下を走っていたら他の子どもとぶつかったということがあると、それからは廊下で走るという行動は行わなくなっていきます。
しかし、「弱化」を活用しようとしても、親にとっても子どもにとっても弊害が大きく、行動を抑える効果も少ないため、発達障害の子どもの発達支援に活用されることはありません。
以下の場所で、子どもや両親は「応用行動分析(ABA)」による発達支援(養育)を受けることができます。 ①子どもが発達支援(養育)を受けることができる場所 発達支援(療育)機関や塾などで、子どもは「応用行動分析学(ABA)」による発達支援(養育)を受けることができます。
しかし、機関によって、「応用行動分析学(ABA)」を習得しているスタッフの人数や、「応用行動分析学(ABA)」をどのレベルで導入しているのかは異なります。
1人1人の子どもの適正に応じた発達支援(療育)を受けることができる機関でなければなりません。 そのためにも、発達支援(療育)機関の方針やサービス内容を事前に確認しておくことが大切です。
②両親が「応用行動分析(ABA)」を学べる場所 家庭で「応用行動分析(ABA)」を実践したい親のために、発達支援(療育)機関や、「応用行動分析学(ABA)」を取り入れている団体などで、講習会やペアレント・トレーニングなどを開催しています。
「応用行動分析(ABA)」は、人間や動物などの行動に「法則」を導き出して、そこで得た知見をもとに、課題を解決しようとする学問です。
「応用行動分析(ABA)」の理論や知見を取り入れている発達支援(療育)機関は増えてきています。
また、発達支援の子を持つ親のための「応用行動分析(ABA)」の考え方を習得するためのペアレント・トレーニングも開催されています。
子どもが発達支援かもしれないと思ったら、ぜひお近くの「応用行動分析学(ABA)」の知見を取り入れた発達支援(療育)サービスやペアレント・トレーニングを実施している機関を見つけて相談してみましょう。
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