2024.01.15
こんにちは。栃木県・群馬県の障害者グループホーム「ファミリー」編集部です。
厚生労働省の統計によると、日本の精神障害者は年々増加しており、2000年が約200万人だったのが、2015年には約400万人と倍増しています。
原因としては、不況による経済的困窮や、核家族化による社会的孤立などさまざまな理由があるようです。
さらに、社会的に精神疾患についての理解が増してきたため、病院で精神疾患と診断されることも増えてきたようです。
そんな中で、医療保険で対応できる精神科デイケアが注目されてきています。
精神科デイケアの役割や目的、対象者やサービス内容にはどういったものがあるのでしょうか。
目次
精神科デイケアとは、精神障害を持つ方のための通所型リハビリ施設のことです。 精神障害を持つ人が、安定して日常生活を送ることができるようになり、復学や就労といった社会復帰をめざします。
毎日、一定の時間に施設の通うため、生活のリズムを整えることが可能です。 自分の障害や病気について学ぶことができ、生活習慣を改善することで、精神疾患の再発を防止します。
精神疾患のある人が家にこもっていると、家族の負担も増加し、お互いにストレスを抱えることも少なくありません。 精神科デイケアに通えば、本人と家族が離れるため、お互いに心の余裕が生じ、ストレスをおさえることができるでしょう。
さらに、医師や家族以外に、同じ体現や障害をもつ仲間同士の団体行動や交流を通じて、生活習慣の改善や対人関係・コミュニケーションのスキルが身につきます。 団体交流の例としては、スポーツ・創作活動・料理実習・パソコン学習・ミーティングなどさまざまです。
こうした活動を通じて、集中力や作業能力、段取りや見通しのつけ方といった課題遂行能力が養われます。 また、適度な運動を行うことで体力をつけて健康を維持することも可能です。
さらに、資格試験のサポート、面談演習、ビジネスマナーやパソコンのスキルを身につけることもできます。
精神科デイケアは、さまざまな福祉サービスを活用することができ、健康保険が適用されるのも大きな特徴でしょう。
精神科デイケアで行われる代表的なプログラムをご紹介しましょう。
創作・趣味活動 音楽・料理・手工芸・塗り絵・園芸など、創作や趣味の活動、レクリエーションを行うことで、集中力や段取りの付け方などを学びます。 グループで活動するため、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。
スポーツ みんなでスポーツをし、チームワークを学びます。 体を動かすことでストレスを発散すると同時に体力をつけることも可能です。 競技としては、バレーボール・卓球・散歩・ヨガ・フットサルなどを行います。
心理教育 病気や障害に対する理解を深め、その対処法を学ぶことで、自分の特性を理解し、体調管理に役立てます。
例えば、病気や障害への理解、認知行動療法、ソーシャルスキルトレーニング(SST)などを学びます。
就労への準備 自分の特性を知ったり、パソコンのスキルを高めたりして就労に必要なスキルを身につけます。 また、応募書類の作成方法や、面接の演習、就労支援機関の活用方法などを学びます。
これらのプログラムは、精神科デイケアによって異なります。 目標を設定し、グループで行うことが多いのですが、1人で行うものもあります。 利用者の疾患、回復状況、家族状況を勘案して、複数のプログラムを組み合わせるケースが多いようです。
精神科デイケアの利用は事前確認のステップがあり、面倒に感じる場合もあります。 しかし、精神的にも肉体的にも無理なく通うためには事前確認は必要です。 利用条件や手続きなどをしっかり確認するようにしましょう。
1.主治医に相談 精神科デイケアを利用したい場合は、まずはかかりつけの主治医へ相談するのがよいでしょう。 なお、精神科デイケアの利用は、ある程度症状が安定していることが条件になります。
精神科デイケアは、主治医から紹介してもらうことも可能ですし、自分で探すことも可能です。
2. 利用検討 利用したい精神科デイケアに見学に行ったり、説明を受けたりして利用の検討をします。
施設のプログラム、雰囲気、自宅からのアクセスもなどさまざまな要因から検討しましょう。
施設によっては、精神科デイケアの定員以外にプログラムごとの定員がある場合もあるので注意が必要です。
3 利用手続き 利用を決めたらいよいよ利用手続きを行います。
主治医による診断情報提供書、あるいは精神科デイケア指示箋があれば、主治医が在籍していない施設でも精神科デイケアを受けることが可能です。
4 利用開始 利用の検討や利用の手続きが完了したら、正式に利用開始となります。
精神科デイケアの費用の目安は、10割負担の場合、大規模施設がおおむね7,000円、小規模施設が5,900円ですが、施設によっても異なります。
5.保険適用 健康保険が適用されれば3割負担になります。 大規模施設でおおむね2,100円、小規模施設で1,770円です。 公的機関では無料のところもあります。
しかし、施設にもよるので確認が必要です。 病院によっては、初診料・再診料・食費が必要な場合もあります。
6.自立支援医療制度 精神疾患の通院時にかかる医療費の自己負担を少なくするのが自立支援医療制度です。 通院治療が必要な精神疾患ですが、精神科デイケアも対象となります。 自立支援医療制度を利用すれば1割負担ですみます。
7.自己負担分が軽減・無料になる市区町村も 市町村によっては、医師の診断書や健康保険証を申請すれば自立支援医療制度が無料になるところもあります。 最寄りの市町村の窓口に問い合わせてみましょう。
精神科デイケアの利用者は年々増えてきており、これからもますます増えていくことと思われます。
精神疾患を持つ人は、自宅と通院を往復する毎日では、復学や就労に向けて、どのように対処したらいいのかわからず悩んでしまうことでしょう。
そういった人に対して精神科デイケアは、外部との交流の第一歩となる手段となるものです。
家族や医師しか相談相手がいなかったのが、交流範囲が広がることで、コミュニケーションスキルも高まり、社会復帰が容易になることでしょう。
精神的デイケアは、保険適用も可能ですし、自立支援医療制度の適用を受けることもできます。
まずは主治医に相談し、精神科デイケア施設を調べてみることから始めてみましょう。
精神科デイケアの利用によって、復学や就労に自信がついてきたら、今度は、就労移行支援や就労継続支援などの支援サービスも検討してみるのもいいのではないでしょうか。
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