若年性アルツハイマー(若年性認知症)とは?主な症状や寿命、対処方法について - 栃木県宇都宮市の障がい者自立支援・共同生活支援 | 障害者グループホーム ファミリー宇都宮

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若年性アルツハイマー(若年性認知症)とは?主な症状や寿命、対処方法について

若年性アルツハイマー(若年性認知症)とは?主な症状や寿命、対処方法について

2021.05.04

65歳未満で発症する数々の認知症のことをまとめて「若年性アルツハイマー」と言います。40代・50代および60~64歳までに発症したものは「初老期認知症」とされ、18~19歳、20代・30代で発症したものは「若年期認知症」とされるのです。つまり「若年性アルツハイマー」は2つの種類があります。患者数は4万人弱ほどで、まだそれほど多くはないのですが、社会で活躍している若い年代で発症した場合には、家族など周囲の人に与える影響は甚大でしょう。

高齢者で認知症の人は女性が多いのですが、「若年性アルツハイマー」の方は男性の方が多いのです。2009年の厚労省による調査によると、日本の「若年性アルツハイマー」の男女比は6対4となっています。「若年性アルツハイマー」になった時に本人や家族がとるべき行動などについて述べてみましょう。

若年性アルツハイマー(若年性認知症)で現れる代表的な症状

脳の異常な変化や、脳の病気や細胞がこわされることによる「中核症状」と、「中核症状」の二次的なものとして発症する「BPSD(行動・心理症状)」に「若年性アルツハイマー」は二分されます。「BPSD」は、ストレスやまわりの状況によって発症しやすくなるとされており、必ず発症するというものではありません。なお、「BPSD」とは「Behavioral and Psychological Symptoms of dementia」の略です。

【中核症状(認知機能障害)】下記のいずれかに必ず該当します。

・記憶障害:記憶力が低下する。
・見当識障害:時間や場所の見当識が低下する。道に迷ったり、季節や日付がわかなくなったりする。
・実行機能障害:計画的に順序よく行動する実行力が低下する。
・理解・判断能力障害:寒いときに着こんだりするなど、その場その場で適切な対応ができなくなる。
・計算能力障害:正しく計算する能力が低下する。

【BPSD(行動・心理症状)】下記に該当することがあります。

・不安・焦り:やったことの失敗による不安、他人への迷惑などを懸念する。
・うつ:引きこもりがちになったりふさぎこんだりする。
・興奮:イライラして暴言をはいたり、手をだしたりする。
・睡眠障害:昼夜逆転などが原因で睡眠障害が起こる。
・幻視幻聴:実態のないものが見えたり聞こえたりする。

若年性アルツハイマー(若年性認知症)の発症後の平均寿命

「若年性アルツハイマー」の平均寿命は発症してから8年と言われています。短い寿命だという印象がありますね。しかし、人それぞれケースバイケースであり絶対的なものではありません。なぜ寿命が短いのかという理由は、アルツハイマーによる転倒・骨折・誤嚥性肺炎などの合併症によることが大きいのです。しかし、適切なケアを行い、自分でも食生活に注意するなどして体のコントロールを上手に行えば寿命などを考える必要性もなくなります。

「若年性認アルツハイマー」を完治する薬は、現時点では開発されていません。そのため、認知症の治療には、対症療法という症状に応じてその都度薬を選択する方法が主流です。中核症状に有効な薬の「アリセプト」と、行動・心理症状向に有効な「抗精神病薬」などが使用されています。

認知症は進行するものですが、「若年性アルツハイマー」は進行のスピードが速いという特徴があります。40歳代での発症ですと、高齢者のなんと倍以上のスピードで進行すると言われています。完治はできなくとも、早期発見、早期治療することで進行を抑えることはできます。認知症かもしれないと思ったときは、専門医もしくはかかりつけ医に一度相談してみてはいかがでしょうか。

また、20代や30代で発病して診察を受けても、うつ病や更年期障害などと誤診されることがあります。「認知症は高齢者に多い」というイメージがあるからです。しっかりと主治医に診察と検査を行ってもらえば誤診はありません。

若年性アルツハイマー(若年性認知症)と診断されたらどうする?

「若年性アルツハイマー」の人は、会社などで最も活躍している世代の人が年齢からして多く、発症した場合の生活への影響は甚大です。「若年性アルツハイマー」になったらどのような対応をとるべきなのでしょうか。

【職場に相談する】
労働時間の短縮や配置転換を申し出ます。しかし、そのため働いていた職場での就労を継続することがむずかしくなった場合は、改めて障害者枠で再雇用してもらう方法もあります。ハローワークで就労訓練を受けることも可能です。自分でできる範囲の仕事で家計を支えるために働き続けるという割り切った考え方を持つことも必要でしょう。

【生活習慣を改める】
「血管性認知症」は、脳梗塞や脳出血を原因とする認知症で、「若年性アルツハイマー」につながるものです。血管をいためるような食事を控えることは認知症の予防になることでしょう。例えば、栄養バランスの取れた食事や質の高い睡眠など、生活習慣をただすことで認知症の進行を遅くすることができます。また、アルコール性認知症は、過度な飲酒を避けることが発症しないためには必須ですね。

【公的制度を利用する】
さまざまな社会保障制度や公的制度やサービスがあります。それらを効果的に組み合わせて利用することで、医療費の負担を軽くし、余裕を持った生活ができます。

・障害年金(社会保障制度)
・障害者手帳(社会保障制度)
・自立支援医療(社会保障制度)
・医療費・介護費の自己負担の減免(社会保障制度)
・住宅ローン返済相談(社会保障制度)
・運転免許の返納(義務)
・日常生活自立支援(社会保障制度)
・成年後見(社会保障制度)
・介護保険(介護サービス)
・障害者福祉(介護サービス)

若年性アルツハイマー(若年性認知症)の人へはどのように対応するか?

「若年性アルツハイマー」の人はまだ体が動くだけに、仕事などで今までできていたことができなくなるので、とてもはがゆい気持ちになります。そういったストレスがさらに認知症を悪化させ、うつ・興奮・妄想・BPSDなどを増長してしまうことも少なくありません。まわりの人には、本人のできる部分を生かせてあげられるようなライフスタイルを持続させ、本人が自信をなくすような言動や行動をしない配慮が必要です。

認知症であることを本人に知らせるべきかは、家族のなかでも議論になることが多い問題でしょう。本人に知らせると決めたら、家族も一体と向かいあっていく覚悟が必要です。バリバリに仕事ができている段階で告知を受けると、精神的なショックが大きく、うつが急速に進むおそれがあります。とはいえ、本人がまだ正常な判断ができる段階で告知をおこなっておけば、本人の意思や希望をチェックしながら治療を行うことができるのです。

若年認知症の人をサポートする際は以下のことに留意しましょう。

【無理強いはしない】
無理なことに執着するのではなく、ひとつひとつ着実にできることを持続させることができるように促します。

【本人の話を否定しない】
妄想から「ものを盗まれた」などと言うようになると、家族との関係も悪化してしまいがちですが、「うそだ」などと責め立てたところでどうしようもありません。しっかりと話を聞き、誠実に対応することを心がけましょう。

早期発見・早期治療が何より大事

「若年アルツハイマー」に対して、現在国が進めている「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、「若年性アルツハイマー」の人へのサポートが補強されつつあります。「若年性認知症コールセンター」が全県に設けられており、そのほかにも地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどの相談窓口があります。生活や介護のことで悩んだら、まずは相談してみましょう。また、全国各地の認知症カフェや家族の集いなどに参加して、同じような悩みを持つ人と交流をもつのもいいのではないでしょうか。

もしやと思った場合は少しでも早く受診するようにしましょう。「若年性認アルツハイマー」に自分や身近な人がなってしまった場合は、早々にまわりの人やコールセンターなどに相談して、心配なく治療に専念できるような環境づくりを行いましょう。

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