2021.09.15
日常生活や働いている時にこのように感じたことはありませんか。体調がなかなか安定しない、働いても長く続かない、こんな自分でも働けるのかわからない。さらに、人間関係がうまくいかない、就職したいが何から始めればよいのかわからない、なかなか就職が決まらなくて不安だ・・・など。
不安障害とは、このような不安や恐怖が大きくなり日常生活に支障が出る症状のことです。一時的に不安や恐怖にかられるのは自然なことですが、その状態が長期間続くなら注意が必要です。このブログ記事では、不安障害の種類と症状、治し方や利用できる支援について紹介します。
目次
不安障害とはパニック障害や強迫性障害などの疾患全般を指します。具体的に不安障害を構成する主な疾患ごとに症状の特徴を見ていきましょう。
突然、強い不安に襲われる疾患です。呼吸が苦しく感じたり、冷や汗が出たりします。また、狭い空間が苦手で電車やバス、飛行機といったものを避けたがる傾向があります。
特定のものに強い恐怖心を覚えますが、その対象は人それぞれです。代表的なものとして閉所恐怖症や高所恐怖症があります。
手を何回洗っても気がすまず、また家の戸締まりが気になって何度も家に帰って確認するという行動を何度も繰り返します。
強いストレスを受けた後にフラッシュバックして気持ちが悪くなります。ひどい時はうつ病を併発することもあります。
強いストレスを感じた直後に感情や感覚がマヒして一時的に記憶が無くなったりします。時間が過ぎると自然に回復しますが、外傷後ストレス障害に発展することもあるのです。
現実に発生するとは限らないあらゆることに対してほぼ毎日過度に不安を覚えます。例えば、「癌になったのではないか」などと悩んだりするのです。
不安障害になる原因はそれぞれの疾患によって異なります。
明確な原因はまだわかっていませんが、セロトニンの不足が影響しているのではないかと考えられています。
原因は不明です。
こちらも明確な原因はわかっていませんが、脳内の神経伝達物質のセロトニンが不足しているためではないかと言われています。
強烈なストレスが原因です。例をあげれば交通事故や火事や暴力事件などがあります。
こちらも明確な原因はわかっていませんが、遺伝や子供のころからの性格によるものではないかとされています。
症状ごとに不安障害との日常生活での向き合い方について考えてみましょう。
今できることを行い、少しずつその範囲を広げていくようにしましょう。症状が顕著な時には無理をして外出したりしないようにします。
恐怖心を感じるものに対して、無理はしないで少しずつ恐怖心が取れるように慣らしていきます。一人だけではなく、医師や病気を理解してくれる周囲の人と力を合わせて取り組むと効果的です。
まず、薬を飲んで症状をやわらげます。体調を見ながら、普通の生活の中で強迫行為を行うことを少しずつ減らしていくようにしましょう。
時間の経過とともに自然治癒されることもありますが、治癒されず症状が継続することもあります。なかなか治癒されない場合は認知行動療法または薬物療法を行って治療しましょう。
まわりから単なる心配性に見られてしまうことがよくあります。このような誤った見方を防ぐためにも周囲に自分の病気を理解者してもらうことが精神的な負担を減らすためにも必要です。
日常生活の中において自力で工夫することは症状の軽減に役立ちます。具体的に説明しましょう。
不安や恐怖に対する心の抵抗力も低下してしまいます。十分な睡眠をとり、食事は栄養のバランスを考え、適度な運動を行い、不安や恐怖への抵抗力をつけることが大切です。
リラックスした状態へと導くよううまく心をコントロールすることが大切です。
自律訓練法とは、自己暗示をかけて心身のリラックス状態をつくり出すための訓練法です。 楽に呼吸しているなとか、腹部にあたたかさを感じるなどと言葉にして心の中で繰り返してつぶやきます。
腹式呼吸を行なうことにより副交感神経を優位に導いてリラックス状態をつくります。
まずは職場の上司や産業医に支援をお願いしましょう。周囲からは分かりにくい病気なので自分から説明をすることです。業務量や勤務時間の調整をしてもらうこともできますし、会社の産業医や産業カウンセラーなどに相談することもできます。
家族や周囲は異変に気づいたら不安や心配にじっくり耳を傾けて理解を示してあげましょう。そのことによって患者は安心感を覚えます。そうして早期受診をすすめましょう。早期発見、早期治療が遅れると病気が長引いてしまいます。
これらの不安障害の治し方として薬物と精神療法の組み合わせが有効です。
それぞれの疾患によって選ぶ薬が異なります。ここでは以下の3種類について見ていきましょう。
①ベルソムラ(スポレキサント) オレキシンにより覚醒の働きをしずめ、眠気を誘う薬です。不安障害によって眠れないという人向けに使用されます。
②ジェイゾロフト(一般名セルトラリン) パニック障害や外傷後ストレス障害以外にもうつ病やうつ状態にも効果がある薬です。精神のバランスを保つセロトニンを増加させます。
③ シル(パロキセチン) 強迫性障害以外にもパニック障害やうつ病、社会不安障害といったものに効果的があります。ジェイゾロフトと同じような種類の薬で、セロトニンを増加させる働きがあるのです。
薬の服用と並行して適切な治療を受けることも大切です。薬なしでは困難です。苦痛を覚え、生活しづらさを感じる場合は専門医に受診するようにしましょう。精神神経科でも心療内科でもどちらの診療科でも治療は可能です。
不安障害に有効な療法をご紹介しましょう。
①精神療法 医師や臨床心理士と話し合い、回避行動の原因と考え方の傾向を変ようとする療法です。
②認知行動療法 自分の物の考え方や受け取り方を、事実に沿った客観的なものに変える療法です。回避してきた状況に対処する方法を学び常に適切な行動がとれるようにします。
③ 森田療法 不安や恐怖を「より良く生きたい」という欲望の裏返しと考え、「あるがまま」の自分を認めて生きる療法です。
この病気で悩んでいる患者に向かって、「性格が弱いからだ」などと言うとかえって本人を苦しめてしまいます。正しい病気の知識をもつためにも、まずは専門医に診てもらうことが大切です。治療が遅れることはそれだけ病状を悪化させます。なるべく早く医療機関に行き、適切な治療を受けることを強く本人に勧めましょう。
不安と不安障害の違いは、不安や恐怖を危険な状況であると認識して自己防衛反応を取る点は共通していますが、不安障害の場合はその度合いが状況にそぐわないほど過剰に反応します。また、長期間持続することによって生活に支障をきたしてしまうのです。
不安障害は、早期発見、早期治療が大切です。治療が遅れるとそれだけ病気が重症化したり、社会機能の低下を招いたりします。治療は治療者と患者者と家族が三者一体となってそれぞれの役割を演じることではじめて効果的があらわれるのです。患者だけががんばってもどうにもなりません。一歩一歩の積み重ねが不安障害から解放される最善の方法なのです。
無理をしないで、あせらずに、じっくり改善していきましょう。