2022.05.09
「リーダー」という名のつく介護福祉の仕事はたくさんあります。
その中でも介護リーダーやユニットリーダーは、介護福祉の仕事のスキルアップやキャリアアップにつながる重要なものです。
しかし、この介護リーダーやユニットリーダーは、人間関係や業務量の負担などから、辞めてしまいたいと悩んでいる人も多いようです。 この記事では、介護リーダーの役割や求められるスキル、あるいは辞めたくなった時の対処法について解説しています。 日頃の業務でいろんな悩みを抱えている介護リーダーやユニットリーダーの方はぜひ最後までお読みください。
目次
介護の現場では、介護保険法の配置基準に従って職員を配置しています。 介護現場で働く職員は多いため、それぞれがバラバラに介護の仕事を行っていては満足な介護サービスを提供できません。 そこで、介護職員や仕事をまとめるために、ほとんどの介護施設でリーダー職を配置しています。
「介護リーダー」は施設単位で、「ユニットリーダー」は10名程度のユニット単位といった異なる点はありますが、どちらも人や仕事をまとめることは共通しています。
「介護リーダー」は、介護主任とも言い、介護職員や施設をまとめるのが目的です。 環境整備について考えることも役割の1つの例であり、介護職員が安心して働くことができ、安全に介護の提供できるようにします。 そして、介護リーダーは、特に法令で配置することが定められてはいません。 従って、配置するか否かは各介護施設で決められます。
一方、「ユニットリーダー」とは、ユニットケアをおこなう施設のリーダーのことです。 ユニットのリーダーとしてユニットをうまく運営していくことと、ケアの質を管理することが役目となります。
なお、ユニットケアとは、入居者の自立性やプライバシーを尊重しつつ、入居者一人ひとりに合ったケアを提供することです。
ユニットリーダーは、各ユニット単位に常勤のユニットリーダーを配置しなければなりませんが、介護リーダーの方は配置義務がありません。
この点が両者の大きな違いとなっています。
介護リーダーやユニットリーダーに求められるものとしてはどういった素質なのでしょうか。
リーダーは、施設の方針に従ってどのようなケアをするかを一般の介護職員にわかりやすく具体的に説明する必要があります。 そのうえで、一般職員から意見を上手に聞き出し、意見を集約して施設の目指す方向に行動を促すのです。 つまり、リーダーにはうまく聞き、行動を促すコミュニケーション能力が求められます。
また、リーダーは、一般職員と普段一緒に働いているからこそ見えてくる施設運営や介護職員の育成に関する小さな課題があります。 これは、施設長や相談員の立場ではなかなか把握できないものです。 小さな課題でも気づける力や適切な評価を下せるかがリーダーにとっての大切な素質となります。 決断力もリーダーには必須の素質です。 介護現場は絶えず状況が変化するもので、緊急時のみならずあらゆるシーンで決断力を求められます。 状況に即した適格な判断ができるかどうかは、リーダーの素質にかかっています。
施設長や先輩の職員に上手に頼る力も必要です。 精神的にも体力的にもつらいと思ったら、業務量の分担を再検討してもらうよう相談を持ちかけてみてはいかがでしょうか。
その結果、業務の分担を見直してもらえることもあります。
リーダーは、豊富な実務経験や介護福祉士の資格があればいいというものではありません。 あらゆる困難に直面しても乗り越えられるためにも、介護業界にかける情熱やモチベーションを高く維持する素質が必要です。
介護リーダーやユニとリーダーが抱える悩みにはどのようなものがあるのでしょうか。
リーダーにとっての問題はほとんど人間関係と言っていいでしょう。
介護の仕事はさまざまな人と直接触れ合うことが多いため、いろんなあつれきを感じてしまうものです。 上司や部下との関係、利用者・利用者の家族との関係、さらに自分の家族との関係などです。
特に、介護士の年齢は幅広いため、自分よりも年上の人が部下になることもあります。 年上の部下とどのようにコミュニケーションを取れば良いのかわからず、リーダーには向いていないと悩む人は多いようです。
上司と部下の間で板挟みになることもよくあります。 リーダーは、職員の間に不公平がないように全体のバランスをとってマネジメントを行う必要があります。 上司と部下の不満や意見に挟まれて、心身ともに疲弊して辞めたいと思うこともあるようです。
リーダーであることのプレッシャーに負けてしまう人もいます。 リーダーの仕事には、介護スタッフとしての仕事、施設の職員をまとめること、会議へ出席、議題の提示、トラブルやクレーム対処、レポート報告などさまざまでしょう。
そのような仕事を指示した場合、指示や判断が正しかったのか不安を覚えることもあると思います。
休みが少なくなりがちなのも悩みの1つです。 あえて休みを取ることができてもその分残業が増えてしまうといったケースもあります。 また、休み中に職場から緊急連絡を受けることも。 さらに、急な職員の欠勤があった場合、人員不足になり、休みを返上して出勤しなければならなく、仕事がきついと感じることも多々あります。
では、こういった問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。
まず、自分の仕事を振り返って、問題点を洗い出し、実行できる改善策を見つけることが大切です。
問題点が見つかれば、チームのマネジメント、業務の効率化、部下への指導の見直しをすることができるでしょう。
過去を振り返ることで問題点を発見して、チェックリストに書き出すなどしてチームの人や自分が働きやすくなるよう改善することも必要です。
定期的なミーティングを開催すれば、メンバー相互の情報共有が行われるため、情報や意見の交換が活発になります。 こうしてトラブルのリスクも未然に防止することもできるでしょう。
介護リーダーやユニットリーダーはコミュニケーション不足が悩みの大きな原因となっていることが多いようです。 積極的にまわりと対話し、かつ相手の話をよく話を聞くことで、コミュニケーションを高めるようにしましょう。 こうしてお互いの信頼を高めることで、依頼や指示がしやすい雰囲気が作られます。
介護リーダーの仕事に精神的にも体力的にも負担を感じた場合は、1人で考えこまずに、上司や部下をうまく頼ってみることも必要です。
上司に業務分担を見直すことができないかなどを相談し、理解してもらい、再配分してもらえることもあります。
あるいは、部下に悩みを打ち明けるのもいいでしょう。
同情してくれた部下が自発的に自分の仕事の範囲を増やして、リーダーの負担を減らしてくれることがあるかもしれません。
上司や施設長に労働環境の改善を求めるのも有効です。 休みが取りにくかったり残業が当たり前になっていたりする場合は、上司や施設長に相談することで改善が示されることもあります。
事業所や施設によっては専門の相談窓口が設けられている場合もあります。 事業所や施設に相談窓口が設けられていなくても、自治体の介護職向けの公的な相談窓口を利用することも可能です。 職場ではなにかと打ち明けにくい悩みでもここでは相談しやすいでしょう。
介護リーダーやユニットリーダーはリーダーシップが求められ、仕事量も多く、大変な面も確かにあるでしょう。
とは言え、スタッフや入居者から信頼を集めるやりがいのある仕事でもあります。
さらに、介護の仕事は国家資格の受験資格を取得することを目標とすることやそのための研修を受けることも可能ですし、給料アップをめざしてキャリアアップすることもできるのがメリットです。
介護リーダーを卒業して介護福祉士に、あるいは、社会福祉士や介護支援専門員の資格を取ってソーシャルワーカーになることも可能です。 あるいは、施設の中で出世して施設長になることも夢ではないでしょう。
高齢化社会を迎え、よりたくさんの介護職員の求人が叫ばれるのは間違いありません。 介護リーダーの仕事は、ますます将来性がある仕事となっていくでしょう。