2021.05.21
イルカと泳いだら、自閉症といった発達障害のある子供が、突然言葉をしゃべれるようになったり、車イス生活をしていた身体障害者が、急に歩き始めたりすることがあると言われています。またイルカは障害のある人のそばに寄り添って不思議な超音波を発し、神秘的なパワーで病気を治療すると言われているのです。世界には科学では説明できない現象がたくさんあります。イルカたちはあるは超能力を持っているのかもしれませんね。イルカセラピーとはどんな療法なのか、どんな効果があるのかなどについて見ていくこととしましょう。
目次
動物を使って精神疾患の治療に生かすことを「アニマル・アシステッド・セラピー(Animal Assisted Therapy;略してAAT」または、「アニマルセラピー(動物介在療法)」といいます。 その中でもイルカを介在させたセラピーのことをイルカセラピーと呼ぶのです。
アニマル セラピーの効果が期待できる人として、 1、痴呆、分裂病の自閉、欠陥状態などの患者 2、取り巻く人に恐怖感があり、他者とのコミュニケーションが困難な患者 3、特に子供で自閉症、情緒障害の患者 4、リハビリを含み痛みや不定感などをもつ患者 などが適当とされています。
特にイルカセラピーとはイルカとの触れ合いが、うつ病や自閉症の子供や大人にも良い効果があると言われているのです。セラピーとなるものは、魚類、爬虫類、植物、小鳥、モルモット、ハムスター、ヒツジ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヤギ、猫、猿、犬、馬、イルカなどです。
触れ合う動物の条件として 1、身体的もしくは精神的な害をくわえない。 2、感染しない 3、あらゆる人と対応しても落ちついている 4、むやみに排せつをしない 5、飼い主の言うことをきく などが挙げられます。
「アロマセラピー」とか「ミュージックセラピー」とか言いますが、そもそもセラピーとは何でしょうか?セラピーとは治療の際、薬や手術を使用しない療法です。アロマを焚いて癒すのがアロマセラピーで、音楽を聴いて癒すのがミュージックセラピーとなります。これらの効果のことをヒーリングというのです。
たちえば、海洋療法とは健康増進や美容、海水・海辺の大気・気候といった海の要素を取り込むことによって身体機能の回復をはかることで、安定感が増したり自信を回復したりといった効果や、よく眠れるようになることなどが期待できます。これらの効果が相互に働き、心身のリハビリテーションができる点が特徴と言えそうですね。
アニマルセラピーの場合は、病院や老人ホームで犬やネコとのふれあうものや、身体障害者が乗馬することによってリハビリをするものがあります。動物との関わることによって生まれるいろんな効果を使って治療やリハビリを行う心理療法で、動物と交わることによる安心感からストレスや不安感が減少したり円滑なリハビリができたりといった報告があるのです。さらに、動物と交わることで精神障害や肉体的障害を抱える子どもたちのコミュニケーション能力が高まることもあるでしょう。
イルカセラピーの正式名称は「ドルフィン・アシステッド・セラピー:Dolphin Assisted Therapy (DAT)」と呼び、イルカに手伝ってもらうことで精神疾患の治療を実施することです。アニマルセラピーが始まったのはとても古く、紀元前ごろから犬や馬を用いて行われていました。イルカセラピーは意外にも最近のもので、1978年になって自閉症児に対してアメリカのフロリダ州で実施されたのです。日本では、1996年になって沖縄県の健康科学財団でアトピー患者を対象に行われました。
イルカセラピーの目的は、人とイルカと海とを組み合わせることによる効用から人間の健康や成長、QOL(生活の質)の向上をはかることであり、障害や病気の治療することではありません。身体障害者であれば、イルカと戯れることができるために意欲的にリハビリを行い、動くことができるようになる場合があります。ひとつの発達支援プログラムがイルカというわけで、イルカの超能力により治療できるものではないと考えられているのです。
イルカセラピーの対象者には次のような人たちになります。
・不登校、精神的・肉体的・性的虐待児の経験のある子ども ・独居中の高齢者、ガン患者、AIDS患者といった週末期医療を受けている人 ・発達障害や発達遅延、自閉症、精神遅滞のある先天的慢性疾患者 ・ダウン症、脳性麻痺などの注意欠陥障害者 ・事故、病気、PTSDなどによる後天的慢性疾患者 ・精神分裂症、うつ病などの精神障害者 ・元受刑者など犯罪傾向にある人
イルカセラピーは生理的効果と心理的効果と社会的効果の3つの効果が考えられています。
イルカと交わることでリハビリの効果や精神的な刺激が得られることがあるのです。子供ならなおさらで、イルカと一緒に泳いだり繰り返してボールを投げたりすることがリハビリになります。例えば以下のような効果があるのです。 ・肩の可動域が広くなった ・握力が増した ・水泳ができるようになった ・発会話ができるようになった
イルカとなかよく泳いでみたいという前向きな動機づけや意欲ができます。イルカと海で戯れることは気分をリラックスできるのです。気力を高め、不安をなくすという効果もあると発表されています。心理的効果の例としては、イルカとまた泳ぎたいからという理由で注意持続時間が延長した、達成感を感じられるといったものがあるのです。
安心感が大きくなることにより、他者との円滑なコミュニケーションがはかれるチャンスが増えることがあります。みんなと体験を通すことで共通の話題がたくさんできますし、協調性も養われるのです。社会的効果の例としては、家族仲がよくなった、学校に登校するようになった、集団生活で協力できるようになったということがあります。
とはいうものの、イルカは海洋環境で生活する動物であり、犬や猫のような愛玩用ではありません。アニマルセラピーに用いられる動物として患者に対する安全性も不安で、 適切な生物とは言えないという意見もあります。また、イルカセラピーそのものの効果もまだ科学的には立証されていません。また、イルカは確かに超音波という人に聞こえない音を使いますが、超能力は持ち合わせていないのです。セラピーどころではない結果を導く危険性も指摘されています。
イルカは決して安全な生き物ではありません。 野生での例として、噛まれたりすることによる人の怪我または死亡する事故が発生しているのです。 水族館でも飼育員や観客が噛まれたりしたことは多数あります。現在、イルカセラピーの指導者の資格も必要とされていませんので不安です。また、イルカの糞便は感染の危険性は排除されていません。くわえて、初めて訪れた水族館のプールで初対面のトレーナー達に対しストレスを感じずに患者がリラックスできるかは疑問です。
患者やその家族がそのイメージなどから「イルカ好き」になったといケースが多いでしょう。たとえば、group_inouというアーチストのPVがyoutubeやニコニコ動画で紹介され、その歌う歌詞が人気になったり、キャラクターの「イルカくん」が警視庁の忘れ物防止のキャラクターに採用されたり、キャラクターがプリントされたtシャツやカードが人気になったりしたことによる影響もあるでしょうね。このようにイルカの商業的利用者がセラピーの効果を宣伝していることも事実です。実際に動物と触れ合って「イルカ好き」になったという人は非常に少ないのが事実でしょう。
イルカセラピーの研究が始まってから日も浅く、まだまだわかっていないことがたくさんあります。しかし、イルカセラピーにより患者が劇的な変化を感じることがあったこともまた事実です。今後はこの変化を数値化されたデータでの発表ができれば、イルカセラピーの効果が証明されることになるでしょう。障害者や障害者の家族なら少しでもイルカセラピーに頼りたい気持ちはあるものです。海外のみならず国内でも沖縄にある「もとぶ元気村」のようにイルカセラピーを体験できる施設があります。関東や東京でもイルカと触れ合うことができる施設もありますね。いずれにしても動物と触れ合って心を癒すことは必要でしょう。