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読字障害(ディスレクシア)とは?特徴や困りごと、早期発見の方法

読字障害(ディスレクシア)とは?特徴や困りごと、早期発見の方法

2022.06.07

読字障害(ディスレクシア)という言葉を聞くことがあります。

読字障害は発達障害の内の「学習障害」の1つです。

発達障害になると、何らかの原因で生まれつき脳機能に障害が生じ、問題解決能力、想像力、意思疎通力などに不具合が生じます。

学習障害(LD)とは、読字障害、書字表出障害、算数障害の3つの障害をひとまとめにしたものであり、また人によって症状もさまざまです。
例えば、学習障害のある人の中でも文章が上手に書ける人もいますし、計算が上手な人もいます。

この記事では、読字障害の特徴や早期発見方法などについてご紹介します。
読字障害に関心のある方はぜひ参考にしてください。

 

読字障害(ディスレクシア)とは?

読字障害は、1896年にイギリスで最初に報告され、治ることが可能な発達障障害のうちの「学習障害」の1つとして位置づけられました。知的能力にも本人の努力にも問題はないのに、脳機能がうまく働かないため、文字を読むことが苦うまくできません。

読字障害は、音韻処理と言われる表記文字と文字の読み方との対応がうまくいかない状態です。
つまり、文字を見てそれを音に変換することが困難な症状になります。

その原因は音韻処理をつかさどる脳機能の発達が未熟であり、情報を伝えて処理する脳の働きがうまくいかないからです。

2013年にアメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5において「ディスレクシア(dyslexia)」という言葉が使われるようになりました。「ディス(dys)」は困難の意味で、「レクシア(lexia)」は読むという意味で、この2つのギリシャ語が合わさったものです。

知的な遅れや視聴覚障害はなく、教育やトレーニングを十分に受け、本人も努力しているのにもかかわらず、こうした現象が生じます。
よって、能力的に文字を読むことができないと言うよりは、「よく間違えやすい」「よく間違える」と言う方が正確です。

しかし、読字障害は読み能力が劣れば書字能力も劣ってくるものです。
従って、 日本で、読み書き障害や読み書き困難などとも呼ばれることもあります。

 

読字障害(ディスレクシア)の特徴

読字障害の人は視覚や聴覚に異常はないのですが、文字を読み取ることや文字を思い起こして書くことが難しかったり、文字が歪んで感じたりします。

文字がかすんで見える、上下さかさに見える、黒いかたまりになって見えるなどの特徴があり、認知の仕方が人それぞれ違るのです。
また音韻認識が弱いため、ひらがなやカタカナ1字としては理解していても、漢字で書かれた言葉になると理解できなかったりします。

たった1字を読むのに時間がかかったり、読み間違いがあったりするので、疲れてしまい、意味を把握するまでには至りません。
読書が嫌いになったり、読書を拒否したりするようになります。

就学後の読字障害の主な特徴や症状は以下のとおりです。

  • 漢字の音読みと訓読みの使い分けができず、単語や文節の途中で区切った読み方をする
  • 文字を一つ一つ拾って読む
  • 飛ばし読み、適当読みをする
  • 小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「−」などの特殊音節が認識や誤りが多い
  • 聴覚記憶ができない
  • 文字が二重になったり、ぼやけて見えたり、にじんで見えたりします
  • 「ソ」と「ン」などの違いがわからない
  • 文章を読んでいて、読んでいる所を見失う
  • 耳から情報は理解しやすい
  • 文字が曲がって見える
  • 文字がさかさになる
  • 文字が左右逆に見える
  • 1つの文字を点で描いているように見える
  • 文字と音の変換ができない
  • ひらがなの音と文字との結びつけができない
  • 「め」「ぬ」「わ」「ね」、「雷」と「雪」のように形態的に似ている文字の誤りが多い
  • 画数の多い漢字に誤りが多い
  • 単語のまとまりを認識できない

読字障害の行動の特徴としては以下のものがありまます。

  • 頭は良いと思われるのに、紙の上に考えを書くことができない
  • 劇や芸術、討論などでは他よりも優れた働きをする
  • 不器用である
  • 自分では学習能力がないと思い込んでいて、さらにそれを見せないために道化師を演じる
  • 引きこもって孤立し、後ろの方に座るなどして団体行動に参加しない
  • 1つのことが上手にできることがあるが、反面、全般的なことを覚えられない
  • 矢継ぎ早に話されると、こわばった表情になる
  • 勉強に一生懸命になりすぎるあまり、学校での1日が終わると疲れきって帰ってくる
  • いじめにあう

 

読字障害(ディスレクシア)が抱える生きづらさ

2012年の文科省調査によれば、日本の 4.5%の子供にLDが見られるといいます。
これは1クラスに1人の割合になります。

読字障害ゆえの生きづらさの例としては、以下のようなものがあります。

■学校

読字障害の子供は、視覚や聴覚に異常はないものの、読み書きが苦手なため、板書をノートにとる作業がとても困難です。
学校の宿題にとても時間がかかったり、字が汚かったり、作文、漢字の書き取り、声を出して読むことなどができなかったりといったこともよくあります。
本人も家族も先生も独自障害だと気がつかず、本人の努力不足だなどと叱られる場合もあります。

■仕事

文字を使う仕事が苦手で、たびたびミスを繰り返してしまいます。
また、上司の指示を受ける時や電話を受けた場合にメモがとれないことも。
電話の相手を忘れたり、他人の顔と名前が覚えられなかったりすることもあります。

■日常生活

読字障害は、知的には問題ないため、日常生活に支障はないと思われがちです。
しかし、電車の行き先を間違えて乗り遅れてしまったり、車を運転中に標識を見落として通り過ぎてしまったりすることがあります。

■対人関係

会話面ではほとんど問題はありませんが、文字の読み書きが出来ないことでいじめられたりひきこもりや登校拒否になったりすることがあります。

さらに、学校の先生や両親が読字障害とは知らずに繰り返し注意を与えると、うつ病や、失語症などの二次障害を発症するおそれがあります。

 

読字障害(ディスレクシア)の早期発見の方法

成長期に応じた読字障害を早期発見するための方法を解説します。

1.就学前

就学前は、遊びの様子を見ていても、読字障害の特徴にはまだ現れにくく、読字障害に気づくことは少ないようです。

就学前の読字障害の特徴

・文字や音への興味や認識が薄いため言葉や文字をなかなか覚えない
・手先が不器用なため折り紙ができなかったりボタンがとめられなかったりする
・身体の使い方が下手

2.就学後
この頃から学習障害の兆候が見えてくるようになります。
小学生になり本格的に学習が始まりますが、特定の科目が苦手だったり、読み書きが困難であったりした場合、学習障害の疑いがあります。
学習の習得が同年代の子供よりも著しく遅い場合、専門機関や担任の先生に相談してみましょう。

就学後の学習障害の特徴

  • 授業をきちんと受けても理解できない
  • 漢字が読めない
  • 文字を1文字ずつたどりながら読む
  • 文字を読まないで推測する
  • 行を飛ばして読む
  • 文章を読むのが嫌い

中高生になると学習能力の偏りが明確になってきます。
文字を書く能力が極端に劣っている場合には、読字障害かもしれません。
漢字を読むのが得意ですが、アルファベットを使う英語になると極端に苦手になったりします。

逆に小学校で習うような簡単な漢字が読めないこともがあります。

3.成人期(18歳以降)
成人してから読字障害だと診断された場合、学習障害と発達障害との両方を持つかもしれません。

大人の学習障害の特徴

  • 仕事のことで注意されても同じ失敗をくりかえす
  • 電話をしながらメモが取れない
  • 企画案をうまくまとめることができない
  • グループ単位で指示を受けるのが苦手なため会議が苦痛

 

読字障害(ディスレクシア)かも?と思ったら早めに相談を

読字障害のために仕事や生活が困難になると、その悩みやストレスから適応障害やうつ病ななどの精神疾患を招くおそれがあります。
あるいは、別の疾患やアスベルガーなど別の発達障害を併発することもあるかもしれません。

読字障害の人がより暮らしやすい生活をするために、携帯のalexiaや無料メッセージアプリを使ったり、写真を撮ってメモ代わりにしてみたりしてはいかがでしょうか。

アクティビティなツールを使って苦手な状況から回避するといった対策を試みてみましょう。
そして、ひょっとして自分は読字障害かもしれないと思ったら、早めに専門家や医療機関などに相談するようにしましょう。

診察の結果、読字障害であることが判明したら、障害者雇用や就労支援などの障害福祉サービスを受けることを検討するのもいいですね。

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