「音楽が頭から離れない」イヤーワーム(ディラン効果)について - 栃木県宇都宮市の障がい者自立支援・共同生活支援 | 障害者グループホーム ファミリー宇都宮

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「音楽が頭から離れない」イヤーワーム(ディラン効果)について

「音楽が頭から離れない」イヤーワーム(ディラン効果)について

2021.05.11

勉強中などに聞き覚えのある曲が、頭の中で不意に流れてきて耳から離れないという経験をしたことはありませんか。この現象は「イヤーワーム」と言われている音楽幻聴です。ほとんどの人がこの経験があるようですね。どうしてこのような現象が起きるのでしょう。体や精神への影響はどれほどあって、その治療法はあるのでしょうか。さらに、イヤーワームという名前はどういう由来から付けられたのでしょう。今回はこのようなイヤーワームについて詳しく見ていくこととします。

脳内でメロディーが何度もリピートする現象

「イヤーワーム」とは、「ディラン効果」とも呼ばれ、ある瞬間に聞いたことのあるアニソンなどの曲のワンフレーズや文字が頭の中で強迫的に繰り返され、毎日、朝から止まることなく反復されて聞こえてくる現象のことです。単調なリズムの繰り返しが特徴で、勉強中など前向きな考えをしているときに何気なく起こるもので、約9割の人が週に1度ほど経験しています。ぼーっとしている時や単調な作業をしている時、あるいはストレスを感じている時にも起こりやすく、「adhd」や「asd」や「統合失調症」などの人に多いと言われているのです。

「イヤーワーム」の「ear」は英語で耳の意味で、「worm」は細長い虫の意味になります。すなわち「耳の中に住み着く細長い虫」という意味になり、気味悪いもののことのようです。イヤーワームの人は昔からいたようで、19世紀に、マーク・トウェインもその著書の「トム・ソーヤーの冒険」の中で「ひとりでに音楽が頭の中で流れ始める」と書いています。

傾向としては、若い人や、女性や、普段から音楽に携わっている人や、頭の回転の速い人に多く起こりやすく、イヤーワームの曲は、ジャンルを問わず、古い曲よりも最近の曲の方が多いようです。また、イヤーワームは個人的な体験からヒントを得て現れることもあります。

ディラン効果の由来はあのミュージシャン

2010年~2013年度に3000人を対象に、ポップミュージックに限定した頻繁にイヤーワームに登場する曲に関するアンケート調査が実施されました。その結果、イヤーワームに出てくる確率が高い曲は3つの要素を持つことが判明したのです。

1.テンポ

イヤーワーム曲はテンポが速いものが多くなっています。脳は速い曲の方を遅い曲よりも好むのではないでしょうか。

2.一般的な旋律輪郭

旋律輪郭が一般的な形のものがイヤーワーム曲にはよく見られます。例をあげると、共通する旋律輪郭が童謡によく見られるように、一度上がってまた下がるというものです。一般的な旋律輪郭なので、脳が曲をそれだけ思い出しやすく、反復して歌いやすくなるのではないかと考えられています。

3.特異な音程パターン

通常と異なる音程のものがイヤーワーム曲に多いようです。具体的にはリープと呼ばれる跳躍進行が多い、あるいはより大きな跳躍進行があるといった点があります。イヤーワーム曲は特殊な音程パターンが多いのですが、シンプルでなおかつ覚えられないほど複雑でない、ちょうどよい旋律輪郭を脳が求めているからではないかと言われているのです。

上記のような3つの要素をあわせ持つ歌として「風に吹かれて」という、誰もが知っていて口ずさむことができるアメリカの歌手ボブ・ディランの歌があり、この歌がディラン効果の名前の由来となりました。

イヤーワーム(ディラン効果)が起こる原因

イヤーワームはどうして起こるのでしょうか?原因は、第一に音楽に関わる頻度ではないかと言われています。通常、音楽に触れる頻度や曲に対する親密度が高いほどイヤーワームを起こしやすいのです。スマートフォンの普及により音楽を聞く時間が増えてきているので、イヤーワームを発症する人も増加するでしょう。

イヤーワームが起きるきっかけとして、感情や記憶や聴覚における脳の領域や曲に関係する体験や風景、感覚などもありますが、そのほか、環境や精神状態も深く関わっています。くわえて、その時の気分にも影響されることも知られており、ストレスを感じる度にイヤーワームが発生する、あるいは気分が高揚している時にテンポの速い曲のイヤーワームが発生するといったことがあるのです。

男性よりも女性の方が長時間にわたってイヤーワームが続き、不快感も男性よりも大きいという傾向もあります。ですが、症状は人によってさまざまで、数分や数時間で消えてしまう人もいれば1日以上継続して発症している人もいるなど、謎の点も多いのです。

脳とイヤーワームとの関係は完全にわかっていませんが、音や音楽を感じるときに活動する右横側頭回というエリアと、自分をコントロールしたり、合理的に考えたりといった理性に働く右下前頭回というエリアのたん白質が少ないと、イヤーワームが多発するということが確認されています。

イヤーワーム(ディラン効果)の対処法

イヤーワームを止められる確実な方法はまだ見つかっていません。ですがイヤーワームをおさえるのに効果があると思われる方法がありますので以下にご紹介します。

ガムを噛む

英国の研究機関が行った研究結果で、ガムを噛むことによってイヤーワームを減少させることができるという報告がありました。噛むことで意識を分散し、思考を停めることができます。ガムを噛むことはストレス発散にもつながるのです。

アナグラムを解明する

アナグラムとは言葉遊びのことで、ある単語の文字を並び替えて全く別の単語にするものです。例をあげると、文字を並び替えることで「カレーライス」は「辛いレース」と言う言葉になります。自分のレベルに見合った問題がいいでしょう。難問すぎるものも、簡単すぎるものも効果はありません。特に5文字の言葉が最適です。アナグラムはイヤーワーム対策として最も効率的な方法です。ほかには数独も有効ですね。

別の曲を聴く

別の曲を聴いてイヤーワームの曲と決別しましょう。そして次回からは自分の好きな曲や文字を選択するようにしましょうね。

ほかのことに集中する

イヤーワームはぼんやりしている時に起きやすいと言われています。そのため、例えば本を読んだり、知人と話をしたりするなど、音楽とは関係ないことに集中して、意識をそちらに向けるようにしましょう。

音楽をまるまる1曲聞く

曲をはじめから終わりまで通して聞くことで、特定のメロディーのループ地獄からの脱却することができ、イヤーワームの問題が解決できることもあります。

疲れるまで頭の中で繰り返させる

どうしてもイヤーワームの止め方がわからないという場合は疲れるまで繰り返させましょう。頭の中で音楽を継続して流すことは予想以上に脳が疲れます。開き直って放置しておくほうが無理に止めようとするよりも効果的となります。

謎が多いイヤーワーム(ディラン効果)。イヤーワームは強迫性障害?

「強迫性障害」とは、日常生活に支障があるほど、ひとつの確認や行為が何回も頭の中で繰り返されるものです。イヤーワームも音楽が頭の中で無限に繰り返されことによる強迫性障害の一つと言われています。気になってしょうがない程度のうるさいイヤーワームは、精神的にも支障をきたし、うつ病になってしまいそうな気がします。

しかし、時には明るい気分になれるイヤーワームも現れることもあるでしょう。ここで紹介した解消方法を活用して上手につきあっていけたらいいですね。イヤーワームは心地よいものではありませんが、あまり考え過ぎず、他のことに注意を向ければいつの間にか改善されているということもあります。病院の投薬治療のほかにも、ぜひここで紹介した解消方法を試してみてはいかがでしょうか。

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