2022.08.11
介護施設を中心に、高齢者や障害者の身体および生活能力の回復を目的として、機能訓練を行う人のことを機能訓練指導員と言います。
職能訓練指導員の求人は高まっており、人材の確保のため、2018年度の介護報酬改定では、機能訓練指導員の資格要件として鍼灸師が追加されました。
このような職能訓練指導員になるために必要な条件としてはどのようなものがあるのでしょうか。 また、機能訓練指導員が働いているのはどういった施設で、施設ごとの配置基準はあるのでしょうか。
この記事では、機能訓練指導員とはどういういったもので、どんな魅力があるのかを解説します。 職能訓練指導員を目指そうと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
介護施設等などで高齢者や要介護者のリハビリを行う職種が機能訓練指導員です。 利用者の身体や精神の状態に従って機能訓練のプランを策定し、それを実行します。
機能訓練指導員は、介護施設などでは必ず1名以上の配置をするよう介護保険法で求められています。
なお、機能訓練指導員の活動を支援する組織として、2019年12月 に日本機能訓練指導員協会が立ち上がりました。
日本機能訓練指導員協会は、職能金連指導員の技術の質を高めるとともに、機能訓練指導員の地位の向上を目指します。
機能訓練指導員は国家資格などではなく、その仕事内容そのもののことを言っています。 研修なども必要なく、下記の資格があれば機能訓練指導員になることができます。
看護師・准看護師職員
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・一定の実務経験を有する鍼灸師
「鍼灸師(はり師・きゅう師)」は、2018年の介護報酬改定により追加されました。
鍼灸師を例に見ると、機能訓練指導員になるには、看護師および准看護師職員、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、言語聴覚士の資格がある機能訓練指導員がいる事業所に6カ月以上勤務し、機能訓練に関わった経験があることが条件です。
職能訓練に関わった実務時間や日数、実務内容は問いません。 勤務した施設の管理者が十分経験有と判断すればいいのです。
つまり、鍼灸師の資格を取得した人を機能訓練指導員として採用するならば、「理学療法士等の資格を持つ機能訓練指導員がいる事業所で機能訓練指導に従事した期間が半年以上であることを、その事業所の管理者が文書で証明するだけでいいのです。
生活環境や身体機能を評価を行ったうえで、高齢者や障害者、そしてその家族の意向を汲みながら、機能訓練計画書を策定します。
機能訓練は計画書に従って実施され、経過や状態などを踏まえ3カ月おきに経過や状態を見ながら機能訓練計画は修正されるのです。
高齢者や障害者が自分の身の回りのことができるように支援する「生活リハビリ」が主な機能訓練となります。
それぞれの資格ごとの業務内容は以下のとおりです。
看護師・准看護師
医療知識を生かして、利用者の健康や体調の管理、怪我や病気の予防や処置といったものが行われます。 看護職は機能訓練指導員として働きながら経験を積み、リハビリに関する知識や技術を身につけるのです。
デイサービスでは機能訓練指導員を兼務している看護師もいます。
理学療法士
病気や障害によって運動機能に障害を持った利用者の日常的な基本運動のリハビリを行います。 運動療法や物理療法によって、毎日の運動や動作の機能改善・症状の悪化の予防ができるようにするのです。
作業療法士
心理的リハビリや、入浴方法、食事の摂り方、読書の仕方、掃除の仕方といった応用動作のリハビリを行います。 リハビリにレクリエーションや創作活動などを取り入れて、メンタル面からのアプローチにより身体のケアを行い、社会復帰を目指すのです。
言語聴覚士
言葉によるコミュニケーションがうまくできない人に対して、指導や機能回復訓練、リハビリを行い、嚥下障害や口腔機能などの機能回復を目指します。
柔道整復師
骨折や捻挫や打撲といった身体の損傷に対して整復・固定などの手技を施して機能改善を目指します。 痛みを和らげるように手当しながら、骨や関節などの運動機能を高めるための機能訓練を行うのです。
なかでも柔道整復師は高齢者相手の扱いにも慣れているので、引く手あまたのようです。
あん摩マッサージ指圧師
身体の疲れや肩や首のコリ、腰痛、筋肉のハリ、腰痛などさまざまな症状に対して、マッサージを行ったり指圧療法による治療を行ったりして、やわらげつつ機能訓練を行います。
また、問診や検査を通して身体の不調の原因を見つけ、改善の対策を講じることもあるようです。
鍼灸師(はり師・きゅう師)
2018年より機能訓練指導員が、機能訓練指導員になるための資格として追加されました。 鍼灸を用いて身体の痛みを取り除く知識と技術を活用して、身体機能の改善を目的とする機能訓練を行うことが目的です。
介護系施設と医療系施設の2つが機能訓練指導員が活躍できる場所としてあります。 介護系施設では「個別機能訓練加算」が介護報酬加算されるのが特徴です。
代表的な介護系施設の例
・デイサービス(通所介護) ・グループホーム(認知症対応型通所介護)
・ショートステイ(短期入所生活介護)
・特定施設入居者生活介護
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
アクティブな高齢者を対象とする介護予防のためのリハビリ特化型デイサービスは最近増えてきています。 そのため機能訓練指導員の活躍の場はますます広がっていると言えるでしょう。
代表的な医療系施設の例
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・デイケア(通所リハビリ)
介護保険法によって1施設あたり1名以上の機能訓練指導員の配置が義務付けられている介護施設や事業所は以下のとおりです。
・地域密着型含む通所介護
・認知症対応型通所介護
・短期入所生活介護
・地域密着型含む特定施設入居者生活介護
・地域密着型含む介護老人福祉施設
機能訓練指導員の就労人口は、厚生労働省の介護従事者処遇状況等の調査結果では、2010年で約20,000人でしたが、2016年には約53,000人に増加しています。
日本社会の高齢化はさらに増加傾向のため、機能訓練指導員の需要はますます高まっていくことでしょう。 機能訓練指導員の年収も年々上がっているようです。
介護施設で機能訓練を上手に行うには関連職種との連携が大切になってきます。 きつい仕事を行う中にもいろんな人とうまくコミュニケーションが取れる人は、機能訓練指導員の適正があると言えるでしょう。 高齢者や障害者と一緒に機能訓練のことを考え、訓練を実践しながら人間らしい生活を取り戻すための支援ができる機能訓練指導員はとても魅力的な仕事です。 既に看護師や準看護師、理学療養士などの資格を持っている人は、機能訓練指導員を目指してみるのもいいのではないでしょうか。