2022.07.14
介護の世界における「インテーク」の意味は、介護が必要な人とケアマネージャーが初めて顔を合わせて面接することです。
普段はあまり馴染みがない言葉かもしれません。
インテークは、利用者とケアマネージャーのこれからの関係を占うたいせつなものです。 よい第一印象を持たれるためにも、マナーをしっかりとおさえておくべきでしょう。
この記事では、相手に好感を与える目的や注意したいポイントを中心に解説します。
これからケアマネを目指す人も、ケアマネとして現役で活躍している人もぜひ参考にしてください。
目次
インテークが使われている言葉として、インテークマニホールドや、インテークチャンバー、インテークパイプなどを耳にします。 これらは空気を取り入れる機械のことを指す場合が多いようです。
介護や保育の現場で使われる場合のインテークとは、もっぱら「インテーク面接」のことです。 インテーク面接とは、援助者が治療や支援を行うための初回面接のことで、介護福祉現場などにおいてよく使われます。
ケアマネージャーは、課題を抱えている高齢者や家族に初めて面会をするために自宅まで足を運びます。
面接時間は長くて1時間程度の時間をかけて、相談者や家族から話を聞き、課題や悩みの原因を明確にするのです。
ケアマネージャーによるケアプラン作成のための情報収集が、インテーク実施の目的です。 ただし、それだけではなく利用者や家族との信頼構築も、目的の1つとなります。 自分の第一印象を左右する、大切な機会なのです。
利用者や家族がケアマネージャーに抱く第一印象は、ケアマネージャーが所属する事業所そのものの印象にも影響を与えるでしょう。 利用者や家族が安心してまかせられるかの重要な判断基準の1つであり、任せても問題ないと思ってもらえるように対応しなければなりません。
基本的には、以下の流れで面接を行うとよいでしょう。
1.挨拶・雑談 最初にケアマネージャーとしてどんなことができるのかを伝えます。 利用者や家族は、ケアマネージャーの仕事内容や役割についてよく知らないことがほとんどなので、ケアマネージャーの仕事について理解してもらうのです。
2.自己紹介 たとえば車が趣味などといった自己紹介から入るのも効果的でしょう。 そうすれば、安心感を持たれ、今後の話合いもスムースに進めることができます。
3.守秘義務の説明 インテーク面談では、プライベートな個人情報を語ることになります。 利用者や家族は、自分たちの語りたくない事実を話さなければならないことに対して不安があるでしょう。 安心して相談ができるように、個人情報保護法と守秘義務に関して分かりやすく説明するようにします。
4.進行方法や所要時間 インテーク面接の進行方法や所要時間を事前に伝えておくと、効率よく面談を進めることができますし、利用者も不安や焦りを感じることが少ないのではないでしょうか。 また、このタイミングでこれから話す内容についてメモを取るように伝え、了解をもらうようにしましょう。
5.確認事項に基づく相談開始 利用者や家族から、現状での困りごとや、要望などをヒアリングすることは、ケアプラン作成のための情報となります。 確認すべき事項をあらかじめ書き出しておき、それに従って相談を開始すると、話が横にそれることもありませんし、聞き漏れの防止にもなるでしょう。
6.確認や質問 相談者の話を聴くだけではなく、事前に用意していた確認事項に従って質問をしていきます。 相談者の話を途中で遮ったり一方的に質問したりしないよう、相手のペースや話の流れに合わせましょう。 質問に対して希望する回答を得られなかった場合は、質問の内容や言い方を変えるといった工夫も必要です。
7.不安を解消し終了 要望や悩みをしっかりとヒアリングしケアプランに反映します。 そのため、雑談を交えつつ、利用者と家族の緊張をほぐし、なごやかな雰囲気づくりに努めます。 相手に話しやすい印象を持たれるよう、相槌を入れたりしてしっかり話を聞くようにしましょう。
最後は、利用者や家族の不安をすっかり解消し、介護に前向きになれるようにして終了します。
ケアマネージャーがインテーク面接を行う際のポイントを解説します。
1.電話は丁寧にはっきりと 電話は相手の顔が見えないからこそ、丁寧にはっきりと応対するようにしましょう。 対応のしかたによって、事業所の印象も決まってしまいます。 電話を受けたら、事業所名と自分の名前をしっかり伝えましょう。
相手が名前を言ったら挨拶をしますが、相手が名前を言わない場合は「お名前を頂戴できますでしょうか」などと言って確認します。
紙とペンを用意して、聞き違いや忘れることのないように、メモをとりながら話を聞くくせをつけるようにしましょう。
2.訪問時は清潔感のある服装で 清潔感がある服装で利用者の自宅を訪問するようにしましょう。 ブレスレットやネックレスといったアクセサリーは控え、露出があるものも避けます。 髪型や身だしなみも整え、相手に安心感を与えるよう気を配りましょう。
3.目を見て話す 自己紹介をする際は、相手の目を見て話しましょう。 挨拶の後、事業所名と自分の名前を言い、面接の流れを説明します。 最初は、利用者も家族も緊張して話しにくい雰囲気のことが多いようです。 雑談や日常会話などを交えて、緊張をほぐすようにしましょう
4.傾聴の意識 利用者や家族の話をしっかり傾聴する意識を持って対応することが大切です。 必要なことを機械的に伝える作業となってしまうと、利用者や家族も悩んでいることや相談したいことを満足に伝えることができず、ケアプランの作成にも支障が出てしまうでしょう。
5.相手に関心を持つ 利用者や家族の悩みや不安への共感の度合いを高めることも大切です。 そのため、利用者や家族への関心を持つことも必要になります。 ただし、感情移入するまでは必要なく、相手の話を聞いて、そのような不安の原因は何か、困っている原因は何かなどを聞き出しましょう。
6.些細なことにも気を配る 利用者や家族の些細なことまでよく観察します。 利用者への介護で家族の疲れがたまっていても、自覚がない場合があるかもしれません。 言葉では伝わってこないニーズを探って家族の体力的・精神的健康が維持できるようにします。
誰でも、初顔合わせの人と色いろいろと話すことには不安を感じるものです。
インテーク面談では、常に相手に寄り添う姿勢をくずさないことが大切になります。 継続的な支援につながるかどうかは、この人なら話を聞いてくれそうだとか、この人なら相談しても大丈夫だとう思ってもらえるかどうかにかかってくるでしょう。
しっかり聞きたいことのポイントを整理するなど事前準備を行い、インテークの目的をきちんと理解しておけば、効果的なインテークが行われるのではないでしょうか。
この記事で述べたインテークの目的を理解し、基本的な流れを踏まえて、面接のポイントを踏まえて実施するようにしましょう。
また、事前に面談の練習をしたり、先輩や同僚からアドバイスをもらったりすることも自信を持ってインテーク面談を行うためには必要なことです。
ぜひ、効果的・効率的なインテーク面談を実施して、継続的支援につなげるようにしましょう。