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他人の音に強い不快感を覚える病気ミソフォニア(音嫌悪症)について

他人の音に強い不快感を覚える病気ミソフォニア(音嫌悪症)について

2021.05.20

「ミソフォニア」とは初めて聞く人も多いと思われるネーミングですが、別名を「音嫌悪症」ともいい、最近になって知られるようになってきたものです。まだ研究が始まったばかりでその原因も発達障害による精神的なものなのか、大脳や耳と言った身体の影響によるものなのか諸説があります。しかも分かりにくい症状であるため、ついつい見過ごされていたのです。ミソフォニアはいったいどんな病気なのでしょう。「聴覚過敏」との区別は何でしょうか。向き合い方や対処方法はあるのでしょうか。

特定の音に「過剰に」嫌悪し不快になること

ミソフォニアとは、ある特定の音が聞こえてくると「過剰」に敏感に反応して嫌悪感や不快感を覚える症状のことです。たとえば、セキ払いやくしゃみの音、パソコンのキーボードをたたく音、家族だけでの食事をしている時の食べる音やお茶を飲む音、赤ちゃんの鳴き声、いびきの音、あくびが出る時の音、舌打ちする時の音などといったほとんど日常的な音になります。ほとんどの人が意識しないでいられるような音ですね。ちなみに「ミソフォニア」は、2000年頃に古代ギリシャ語による造語で、ダーウィンといった天才の多くがこの症状を有していたそうです。

ミソフォニアは、くり返される音を敏感に感じ取り、尋常ではない不快感を持ったり、怒りを爆発したり、パニックに陥ったりします。音を発する人に対して殺意をいだくことさえもあるのです。「あるいは自分もそうではないだろうか」と気になる人はミソフォニアかどうかの自己診断テストができますので試してみるのもいいでしょう。

ひとつの原因として考えられているのが、ミソフォニアは、脳の音を処理する機能がうまくいっていないためということです。ミソフォニアの人にとっては、音がまるで鋭い凶器で脳をえぐられるかのように感じられます。極めて強い不安と回避行動につながることが多く、それがひどくなると苦痛に変わってくるのです。

もうひとつの原因として、規範意識との関連があります。『食事中は口を開けてはならない』と音を鳴らして食事している人に対して言ったり、あるいは『キーボードは静かに打たなければいけません』とパソコンを操作している人に対して言ったりするなど、こうあるべきだという強迫神経症に近い気持ちを持った人によく「あるある」なのです。

他の精神疾患の例にもれずミソフォニアも軽症から重症まで症状がさまざまで、患者の大半は病院で治療が必要なほどのものではありません。その結果、大部分のミソフォニアの人が自己防御策として、「私の近くで食事しないでください」などと近くで食事している人にお願いしたり、ヘッドフォンをつけて、近くで聞こえてくるパソコンのキーボードをカチャカチャ打っている音を聞こえなくしたりしているのが実情なのです。

ミソフォニア(音嫌悪症)と聴覚過敏の違い

発達障害(アスペルガー・adhdなどといったものがあります)による「聴覚過敏」とミソフォニアはよく間違えられます。両者の違いを見てみましょう。「聴覚過敏」の方は、聞こえてくる「すべての音」を取捨選択することなくすべて拾ってしまうため、周囲の音が聞こえすぎて一つ一つの音を聞き分けることができず、どんな種類の音でも「大きな音や鋭い音」に動揺してしまう症状です。

「ミソフォニア」の場合は、「特定の音」に対して異常な怒りや不安な感情を持つもので、「音の大小」に関係ありません。この怒りや不安は、聴覚過敏と比較しても尋常ではない大きさなのです。騒音などで怒りの感情が湧いてくるのはごく普通の感情であり、あたりまえのことのように思われますが、異常な程度でこれが湧き起こってくるのです。

ミソフォニアの人が反応しやすい音の特徴としては、「人体から発せられる音」と「環境から生じる音」が多いことです。「人体から発せられる音」では、セキ払いのゴホンという音や、足音のパタパタという音や、ナイフとフォークのガチャガチャという音などになります。「環境から生じる音」とは、パソコンのタイピングのパタパタいう音や人の会話によるぺちゃくちゃという音などリピートされる音のことであり、ミソフォニアの人はこのリピート音に対して怒りや嫌悪を覚えるのです。

なかなか理解されにくいミソフォニア(音嫌悪症)

40~50db程度の低めの周波数の音に対してミソフォニアの人は不快さを感じます。これは、環境省が定めている騒音のガイドラインでは日常生活で望ましいレベルの数値とされている音量です。本人が嫌悪感を訴えても、聴覚過敏やミソフォニアのことを知らない人にとっては全く気にならない音量なので、その不快感が理解されません。

指をパチンと鳴らす音やカチャカチャと物のぶつかり合う音など、日常生活の中で恒常的に発生する音に対して、ミソフォニアの人が耐えられないと訴えても、「気のせいだ」とか「過剰な反応だ」とか「神経質だ」とか「わがままだ」と思われて、ミソフォニアの人がやっかい者扱いさてしまうという弊害があります。こうなってしまっては仕方なくその場から逃げ出すか、耳をふさぐかなどして、自己防衛をはかるしか対処方法がありませんね。

ミソフォニア(音嫌悪症)との向き合い方・対処法

さまざまな雑音が日常生活では飛び交っていますが、誰でも聞きたくない苦手とする音があります。しかし、そのような音をすべて無くすことは不可能です。それが耐えられない苦痛と感じているのか、単に苦手なだけであるのかは当人にしか分かりません。そのため、本人が耳栓やイヤフォンやイヤーマフなどを使用して自己防衛するのか、そこから離れるなどして回避するなどの方法を選択するしかありません。

耳栓以外のよくある対策としては、自然音のアプリ等を活用して音楽を流したり、クーラーの音などの雑音を使って、聞こえてくる音を聞こえにくくしたりする方法も採用されています。それでも悪化するようであれば、何科がいいのか判断したうえで、病院で診察してもらうことにしましょう。耳鼻科で耳を診てもらったり、神経内科で片頭痛を診てもらったり、心療内科や精神科でストレスがないかといったことを診てもらうのです。

気になる音を消し去る方法としては、雑音を流す手段が一番よく採用されています。ミソフォニアを引き起こす音をこの雑音によってシャットアウトすることによって嫌悪や恐怖の反応が減少するという人が多いというわけです。その他にも認知行動療法が効果的という意見もあります。

病院でミソフォニアの診断書を書いてもらうのも有効です。診断書を職場の人に見せるなどして理解を得ましょう。気になる音が存在することだけを口頭で相手や周辺の人に伝えても効果はありません。単にわがままな人だと思われるだけかも知れませんね。自分の症状を認識したうえで、自分がミソフォニアの症状を持つことを周辺の人に伝えて理解を得ることとしましょう。

外からはわかりづらい病気なので、その存在を知らなければ、支援もできないどころかミソフォニアの人を傷つけてしまう結果になるような言葉をかけたり、行動をとってしまったりする恐れもあります。世間にミソフォニアというものが存在することを理解してもらう必要があるでしょう。いろんなメディアを使って広く、分かりやすく世間の人々に知らしめ、認知度を高めることが今後、重要になってくるのです。

ミソフォニア(音嫌悪症)かも?という方は専門機関にご相談を

多くの研究者が世界各国でミソフォニアに対する研究に関心を持ちはじめていますが、まだ結論が出ていないのが実情です。ミソフォニアによって苦しんでいる人たちが安心して暮らせる環境が求められているでしょう。とはいえ、昨今はミソフォニアに対する認知度も高まってきています。「もしかして自分自身がミソフォニアではないか」と思い当たる節がある人は、ミソフォニアの専門機関に問い合わせることからスタートしてみてはいかがでしょうか。世界中の専門機関で、ミソフォニアの効果的な治療方法に向けた研究が日々進められているのです。

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