2022.08.18
過去の強いトラウマ体験の嫌な記憶が後々になって急激にしかも鮮明によみがえったり、悪夢にうなされたりする現象のことをフラッシュバックと言います。
そして、トラウマとは、心に大きな傷ができることであり、フラッシュバックなどの症状を放置しておくとPTSD(心的外傷後ストレス障害)を招いてしまうのです。
このフラッシュバックには対処方法があるのでしょうか。
この記事ではフラッシュバックしたときの対処方法や、トラウマとの向き合い方などについて解説します。
心にゆとりを持った快適な生活を送る上でもぜひ参考にしてください。
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目次
自然災害や交通事故に遭ったり、暴力を受けたりして、死を予想させられる程の過去の強い恐怖体験などが過去のトラウマとなってよみがえることをフラッシュバックと言います。
適切な対処をしないままにしておくと、後になって、その時に受けた心の傷跡が深まって深刻なフラッシュバックを発症させるかもしれません。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害(ASD)によって発症するフラッシュバックは、外傷体験によるトラウマとなった記憶が、突然かつ鮮明によみがえるという特徴を持つ再体験症状であるという特徴を持ちます。
つまり、PTSDのフラッシュバックは、生々しい記憶や悪夢などの形で起こり、強い恐怖や戦慄といった情動や感覚を伴うものなのです。
しかし、フラッシュバックは心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害(ASD)だけが起因となるものではありません。
たくさんの過去の記憶の中で、特に嫌な体験が突然思い出されて、しかもその時の光景がまるで現実に起こっているかのように感じることもフラッシュバックと言います。
発達障害の1つである自閉スペクトラム症の子供が、周囲の人々から叱責やいじめなどを繰り返し受けた場合、フラッシュバックを発症するというたくさんのケースが認められています。
あるいは、発達障害の1つであるアスペルガー症候群の子供も、自分の存在への不安感や、人間形成するうえでの基盤のもろさから、フラッシュバックを招いてしまうことがあるようです。
しかし、これらのフラッシュバックと「ありあり」と「はっきり」と映像のように思い出す侵入的記憶想起と呼ばれるPTSDにともなう再体験症状のフラッシュバックとは明らかに区別する必要があります。
フラッシュバックの対処法としては、まずはストレスに対するケアが必要です。
自閉スペクトラム症や発達障害を持つ人は、ストレスを原因とする障害が生じやすく、いじめや虐待に遭いやすいと言われています。 トラウマとなる経験が、フラッシュバック発症の原因となるわけです。
その人の環境面の配慮をしてあげることが、自閉スペクトラム症などの発達障害を持つ人とともに社会的に生活するうえで大切なことです。 生活で生じる行動面や情緒面での問題を解決してあげる必要があります。
社会全体が発達障害というものを正確に理解して、正しい対応をすることでフラッシュバックを防ぐことが可能です。
環境面の配慮をしたにもかかわらず、トラウマが現れ、フラッシュバックが悪化する場合は、薬物治療に頼らざるを得ません。 特に、抗うつ作用のある選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のフラッシュバック症状への効果が認められているようです。
そのほかにも、心理的アプローチを用いた治療法である、トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)もトラウマに有効とされています。 しかし、この治療を行うには、専門スタッフが過重労働になるため、日本では限られた施設でしか施行されておりません。 そのため、治療を受ける機会は現実にはほとんどないようです。
嫌な記憶としてのフラッシュバックと向き合うためには、まずは信頼できる人と一緒になってトラウマ反応を認識する必要があります。
そのためにも、普段から安心感があって余裕のある生活を送るようにしましょう。
長期間フラッシュバックで苦しんでいる人たちが、臨床心理士やカウンセラーなどの専門職の方とともにフラッシュバックに向き合うことが大切です。 そうして、トラウマが出てきても、自分である程度対処できる方法を身に着けることができるようにしましょう。
精神科の医師や臨床心理士などの専門家を訪ねるのが、フラッシュバックの相談先としてはおすすめです。 ここで医師による診察を受け、服薬治療が施されます。
しかし、医師のよる診察だけでは、トラウマそのものの原因を取り除くことはできません。 トラウマのカウンセリングを行っており、かつ、臨床心理士の資格を持っているカウンセラーによるカウンセリングを受ける必要があります。
カウンセリングの経験がなく、訓練も受けておらず、臨床心理士の資格も持たないカウンセラーも中にはいるので注意が必要です。
トラウマを持つ人は社会からの疎外感を感じていたり、罪悪感を持っていたり、恋愛など人との関係に敏感になっていたりするものです。 トラウマのカウンセリングは、そうした感情を払しょくさせ、どのような心構えと行動をとればいいのかを考える助けになるでしょう。
EMDR、認知行動療法、PE、TF-CBなどの心理学的な技法によって、生活上の支障や心の苦痛となるトラウマをやわらげることも可能です。
また、精神分析的心理療法も効果があります。 トラウマをきっかけに、生き方の問題点や人生の在り方を見つけて、豊かに生きていけるようにするのです。
こうしたトラウマに対するカウンセリングによる効果は高く、標準的な薬物療法や医学的治療よりも有効であることがわかっています。
実際には、心理学的な技法と医学的な治療をいっしょに行うことが多いようです。
カウンセリングを行う際には、本人のみならず、家族や周囲の人、職場の同僚といった関係者への働きかけが大切になります。 まわりにいる関係者にフラッシュバックについて理解してもらい、本人にいらぬプレッシャーをかけないよう、関わり方のアドバイスも必要です。
また、その人の生涯に応じたカウンセリングを行うことも大切でしょう。 課題を個別に組み合わせ、その人に合ったペースで着実に行っていけるような学習機会を提供することです。 その人の劣っている点を改善させるだけではなく、その人の優れている点を伸ばしていくことも考えて対応しましょう。
そうして、本人の自信やプライドを取り戻させ、前向きな気持ちにさせてあげるのです。
この記事では、フラッシュバックの対処方法や、トラウマとの向き合い方などについて説明してきました。
フラッシュバックはそのままほったらかしておくと慢性化し、何十年にもわたって生活に重大な支障をきたしてしまします。
そのためにも臨床心理士などの専門家にカウンセリングを受けたり診てもらったりすることは大切なことでしょう。
フラッシュバックの対処方法として、トラウマを思い出さないようにすることも効果的です。
フラッシュバックは、トラウマとなった出来事を思い出せば思い出すほど現れやすくなります。
関連した記憶を引き出さないように周囲の人も気を配ってあげることも必要でしょう。 また、自分でもフラッシュバックの要因となるものをできるだけ避けるよう努力することが必要です。 まわりの環境から刺激をなくしたり、時間経過や睡眠、休憩などを挟んだりすることで記憶がよみがえってくるのを遮断することができます。
このようにしていつも心にゆとりを持った生活が送れるようにしたいものです。